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【熟年離婚】別居18年・退職金費消の主張を論破し、自宅不動産の全取得と解決金、年金分割を獲得した事例
相談前の状況
依頼者(妻)と相手方(夫)は、婚姻後に3人の子どもをもうけましたが、関係が悪化し、18年以上にわたって長期間の別居状態が続いていました。
子どもたちが成人したことを機に、依頼者は関係の清算と今後の生活基盤の確保(財産分与・年金分割)を求めて、夫婦関係調整(離婚)調停を申し立てました。
相手方は離婚自体には同意したものの、財産分与については強硬な姿勢を見せました。特に、別居後に相手方が受け取った多額の退職金や企業年金について、相手方は「うつ病での休職・退職に伴い、既に生活費や医療費としてすべて費消しており、手元に残っていないため財産分与の対象にはならない」と主張しました。さらに、依頼者が現在も居住している夫婦共有の自宅不動産についても、相手方は不動産業者の高い査定額を提示し、その半額の支払いを求めてきたほか、一般的な年金分割(割合0.5)についても断固として拒否しました。
長年の別居により、依頼者は相手方の現在の財産状況を正確に把握できておらず、相手方の主張通りになれば、長年住み慣れた自宅を失い、老後の生活資金も得られないという大きな不安を抱える状況でした。
解決への流れ
ご依頼後、まずは徹底した財産調査に着手しました。裁判所の調査嘱託や弁護士会照会を駆使し、相手方の退職金、企業年金、各種積立金、生命保険などの受給実績や支給額を客観的な証拠として完全に洗い出しました。
相手方の「退職金等は生活費として費消した」という主張に対し、当方は「別居後の生活費は本来『婚姻費用』として分担すべき問題である。相手方は18年以上の別居期間中、3人の子どもを育て上げた依頼者に対して婚姻費用を一度も支払っていない。自らの婚姻費用分担義務を果たさずに、共有財産である退職金を生活費に使ったから財産分与の対象から外せという主張は虫が良すぎ、到底認められない」と強く反論し、費消を理由とする分与対象からの除外を封じ込めました。また、自宅不動産の評価についても、相手方が提出した査定書の中に「現況のまま業者に買い取らせる場合は査定額の半値程度になる」旨の記載がある矛盾を突き、解体費用等を適切に控除した当方の合理的な査定額をベースに交渉を進めました。
調停不成立を受けて訴訟へ移行した後は、並行して申し立てた保全手続(相手方預金の仮差押えと自宅不動産の処分禁止仮処分)によって相手方に強力なプレッシャーを与えました。結果として、相手方から歩み寄る形で訴訟上の和解が成立し、依頼者が居住する自宅不動産の相手方持分(5分の4)をすべて財産分与として取得し、年金分割(割合0.5)についても合意しました。
平山 友喜 弁護士からのコメント
別居期間が長期間(本件では18年以上)に及ぶ熟年離婚では、①相手方の現在の財産状況が不明確であること、②別居後に受給した退職金等を「生活費で使ってしまった」と主張されること、が大きな壁となります。
本件では、粘り強い調査嘱託や弁護士会照会により、隠された財産や受給実績を「客観的証拠」として突きつけたことが第一の勝因です。さらに特筆すべきは、相手方の「退職金費消」の言い訳に対して、「長年の婚姻費用(生活費)の不払い」という事実をカウンターとしてぶつけた点です。実務上、過去の婚姻費用を遡って請求することは困難なケースが多いですが、本件のように「相手方が共有財産(退職金)を生活費に充てた」と主張してきた場合には、「本来支払うべき婚姻費用を支払っていないのだから、費消した退職金は財産分与の対象に含めて清算すべきである」という論理構成が極めて有効に働きます。
また、相手方が提示してきた「解体を前提としない高い不動産査定書」に対しても、査定書の隅々まで目を通し、「業者買取なら半額になる」という相手方自身の証拠の矛盾を突くことで、当方に有利な評価額を認めさせることができました。
熟年離婚においては「離婚後の住居の確保」と「老後資金(年金・退職金等)の確保」が最重要課題です。長期間の別居で相手方の財産がわからなくても、的確な法的手段(財産調査と保全手続)と緻密な主張の組み立てを行えば、最大の成果を引き出せることを示す意義深い事例です。
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