離婚後長年未払いで手続も完全無視。非協力的な相手方の勤務先を特定し、給与差押えで毎月の養育費回収を実現した事例
相談前の状況
ご相談者(申立人)は、平成27年に相手方(元夫)と離婚し、女手一つでお子様を育ててこられました。離婚直後に数回程度の支払いがあったものの、その後長年にわたって養育費が一切支払われない状態が続いていました。
お子様の将来のためにも適切な養育費を支払ってもらいたいと考え、当事務所にご相談にお越しになり、家庭裁判所へ養育費請求調停を申し立てました。しかし、相手方は家庭裁判所からの呼出を完全に無視し、調停期日には一切出頭しませんでした。
そのため、裁判所による調査嘱託等を利用して相手方の収入状況(給与収入約275万円)を客観的に立証し、令和4年10月に月額3万円の将来の養育費および過去の未払分の支払いを命ずる「調停に代わる審判」を得ました。
ところが、審判が下されても相手方は任意の支払いに全く応じませんでした。そればかりか、裁判所の手続から逃れるために書類の受領を意図的に避けるなど、極めて非協力的な態度を繰り返すようになりました。
解決への流れ
相手方の任意の支払いが全く期待できないため、強制執行(差押え)に向けた手続へと移行しました。
まず、相手方の財産を把握するために裁判所へ財産開示手続を申し立てましたが、相手方はここでも期日に不出頭でした。また、強制執行を進める上で必要となる債務名義の送達にあたっても、相手方が居留守等を使って受領しないという壁にぶつかりました。そこで当職が現地調査を実施し、相手方の生活実態や同居人の存在を詳細に把握して裁判所に上申しました。最終的に、発送した時点で送達されたとみなされる「付郵便送達」などを実施して強制的に送達を完了させ、手続を強行突破しました。
次に、第三者からの情報取得手続を活用しました。預貯金の調査では主要銀行を調べましたが差押えに十分な残高は発見できませんでした。そこで、市区町村および日本年金機構に対する情報取得手続を実施した結果、相手方が勤務している会社を特定することに成功しました。
直ちにこの勤務先を第三債務者とする給与債権の差押命令を申し立て、無事に発令されました。勤務先は差押えに協力的であり、相手方の給与からの天引きが開始されました。その結果、約半年間で過去の未払金や手続費用の全額回収が完了し、現在に至るまで、将来分の養育費が勤務先から毎月確実に振り込まれる状態を確立することができました。
平山 友喜 弁護士からのコメント
本件は、相手方が「無視を決め込んで書類も受け取らなければ逃げ切れる」と考えていた典型的な事案です。調停や財産開示手続を無断欠席し、裁判所からの郵便物すら受け取らないという極めて非協力的な態度を取り続けていました。このような事態に直面すると、途中で心が折れて諦めてしまう方も少なくありません。
しかし、現在の法制度を駆使し、段階を踏んで適切な手続を利用すれば、逃げ続ける相手の財産や勤務先を暴くことが可能です。本件では、相手方が書類を受け取らないという困難に対して、粘り強く現地調査を行い、生活実態を証明して付郵便送達等を利用することで、相手の非協力を突破できたことが最初の勝因です。
また、銀行口座に目ぼしい預貯金がなかったものの、市区町村や年金事務所への照会を通じて現在の勤務先を特定できたことが決定打となりました。養育費の回収において「給与の差押え」は最も強力な手段です。一度差押えが成功すれば、相手方が退職しない限り、毎月の給与から強制的に養育費が天引きされ続けるため、毎月支払いを督促する多大な精神的ストレスから完全に解放されます。本件でも、過去の未払分を取り戻しただけでなく、今後の確実な支払いルートを確保できたことは大きな成果です。
長年支払いがなく、相手が話し合いに一切応じないからといって泣き寝入りする必要はありません。裁判所の手続をフル活用し、現地調査を交えることで解決できるケースは多数ありますので、養育費の未払いでお困りの方は、諦める前にぜひ一度弁護士にご相談ください。
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