実績豊富な刑事事件専門弁護士。刑事司法の改善を訴え、依頼者の正当な権利を守る
警察官だった両親の影響を受け法律の世界へ
ーー弁護士を目指したきっかけを教えてください。
一番影響を受けたのは、警視庁の警察官だった両親の存在です。家の中では刑事手続きの話が日常的に飛び交っており、法に対する興味が自然と芽生えました。
本来であれば、警察官や検事の道を選ぶのが自然だと思うのですが、父親から「検事には絶対になるな」と言われていたんです。階級社会の中で意見が通らない苦労を身を持って経験していた父親の言葉には重みがあり、検事になる選択肢は早い段階で除外していました。
最終的に弁護士になることを決めたのは、司法修習の時期でした。裁判官か弁護士の二択でしたが、活動範囲が裁判所内に限定される裁判官よりも、様々な場所に行く機会がある弁護士の方が、アグレッシブな自分の性格に合っていると感じました。
ーー学生時代に熱中していたことはありますか。
大学では弁論部で活動していました。入部した理由は、弁論が法曹の世界で必要なスキルだと思ったからです。弁論部での活動を通じて、自分の考えを整理し、意見として述べる力が鍛えられました。
同じ弁論部の出身で、現在長野で弁護士をしている仲間がいます。彼から「長沼がいなかったら弁護士として活躍できていなかった」と言われたことがあります。互いに切磋琢磨し、負けん気を持って弁論に取り組んでいたことが、弁護士としての活動に繋がっていると感じます。
ーー現在注力している分野と、注力している理由を教えてください。
最も注力している分野は刑事弁護です。日本の刑事司法制度は諸外国に比べて非常に遅れていると感じています。特に、否認や黙秘している被疑者・被告人を長期間にわたって身体拘束する人質司法の問題は深刻です。
日産自動車のカルロス・ゴーン元会長をめぐる事件でも大きく取り上げられましたが、人質司法の問題を改善したいという思いがあります。
また、刑事弁護では迅速な行動が何よりも重要です。その特性が私の性分に合っていると感じます。
ーーいつ頃から刑事分野に注力したいと考えていたのですか。
学生時代から刑法が得意科目で、刑事分野に関心がありました。また、弁護士登録後に入所した法律事務所が、私選弁護を扱う事務所だったことも影響しています。
当時、被疑者には国選弁護人が選任されない時代でした。そのため、弁護士は被告人国選として、起訴後の弁護を行うことが中心でした。
そんな中、私が務めていた事務所では、私選弁護人として被疑者の段階から弁護活動することが多かったのです。その経験から、起訴される前からの活動が、被疑者の処分に大きな影響を与えることを実感しました。
独立して事務所を開設する際に、刑事弁護に特化した事務所にしようと考えたのも、刑事事件における弁護士の役割の重要性を感じたからです。
アンフェアな刑事事件において依頼者の権利を守る
ーー刑事事件でやりがいを感じられるのはどのような点ですか。
華々しく無罪を勝ち取ることも弁護士冥利につきますが、アンフェアな勾留判断を是正する勾留阻止活動にやり甲斐を感じます。
刑事手続きは非常にアンフェアです。私が弁護士になった頃は、裁判官が検察側の資料にしか目を通さず、99.9パーセントの確率で勾留が決定されるという時代でした。このような状況に対して強い違和感を覚えていました。
被疑者側の事情を裁判官に詳細に伝えるなど、勾留阻止の活動を続けたことで、裁判官の対応も以前とは変わったように感じます。
私が過去に担当した事件について、ある裁判官から「あの事件の逮捕状を出したのは私なんです」と告白されたことがあります。「逮捕状請求のとき、先生が提出した事情は知らなかった」と言われました。そして、「これからも裁判所にどんどん情報提供してほしい」という言葉をいただきました。裁判官も当事者対等の観点を持っていると感じました。
こうした活動は私一人で広めることは難しいですが、委員会活動などを通じて全国各地で展開することで、司法制度全体の改善に繋がると信じています。
ーー弁護士登録した当時と比べて、刑事司法は変わりましたか。
大きく変わりました。私が弁護士になった2007年は勾留請求が却下される割合はわずか0.99パーセントでしたが、被疑者国選制度の導入もあり徐々にその割合が増え、2022年には5.03パーセントに達しています。
この変化は、弁護士の活動が被疑者段階から始まるようになったことと、裁判官の意識の変化が影響しているように感じます。しかし、まだ不合理な判断は多く存在し、改善の余地は多いと感じています。
逮捕される必要のない事案や、身体拘束されなくても捜査可能な案件が依然として多く存在します。これらの問題に対しては、弁護士として毅然とした態度で臨んでいかなければならないと感じています。
ーー仕事をする上で心がけていることを教えてください。
スピーディーな活動を念頭に置いています。周りからも「動きが早い」と言われることが多いです。名前に「敏」という文字が入っていることもあり、何事も俊敏に動くことをモットーにしています。
刑事事件は時間との戦いです。他に予定が入っている状況でも、予定を調整して対応する必要があります。後回しにはせず、何が求められるか、何のためにどのような行動を取るべきかを逆算して考えています。
目標への最短ルートを見極め、必要な行動を迅速に実行することで、依頼者にとって最善の結果を目指しています。
ーー刑事事件を中心に扱われていますが、被疑者とのコミュニケーションで意識していることはありますか。
被疑者の方は身体拘束されて自由を奪われた状況にあるため、まずは寄り添って、その方のために私ができる活動を明確に示すことを心がけています。
私は修習生を指導・担当する立場でもあるのですが、弁護士としての役割を伝える際には、「いい医師を考えるときと同じ目安で」と説明しています。
例えば、病院で医師に体調不良を訴えた際に、あいまいな回答や適当な対応をされたら、その医師を信頼することは困難です。法律問題においても、被疑者に対して明確な情報提供や対応策の提示が不可欠であり、信頼関係を築くことで共に問題解決に向けて努力していく姿勢を大切にしています。
刑事司法の改善に努め人質司法の打破に貢献したい
ーー休日の過ごし方や趣味を教えてください。
月に1回、J-POPの音楽リストを作り、それを聴きながらジョギングをしています。頭を使う仕事なので、体を動かして汗をかくことでリフレッシュしています。
他には、山登りやハイキング、映画鑑賞、漫画、スイーツ巡りも好きです。映画や漫画などは気持ちをリフレッシュするだけでなく、仕事に役立つ情報を得られることもあります。
ーー今後の展望を教えてください。
人質司法の打破に貢献したいと強く思っています。日本の刑事司法における人質司法は非常に問題が多く、まだまだ改善が必要な状況です。
2010年から埼玉で、被疑者への不必要な身体拘束に対する不服申し立て運動を展開しています。全国に52の弁護士会が存在しますが、これまでに30以上の弁護士会で不服申し立て活動の促進を行ってきました。
データを見ても、準抗告や不服申し立ての件数は増加傾向にあります。2007年には年間4213件だった件数が、2022年には1万3988件に増えています。弁護士の活動が徐々に広がりを見せていることは喜ばしいことですが、まだまだ広げていかなければなりません。
このような進展を踏まえ、引き続き刑事司法の改善に努め、全国各地での活動をさらに広げていくことを目指しています。
ーー最後に、法律トラブルを抱えている方へメッセージをお願いいたします。
刑事事件で逮捕・身柄拘束されると、日常生活に大きな痛手を負うことになります。刑事事件では何よりも迅速な対応と行動が大事です。困ったときには一刻も早く弁護士に相談してください。
当事務所は刑事事件を専門に扱う弁護士事務所です。経験豊富な弁護士が、あなたの権利を守り、最善の解決を目指して全力でサポートいたします。