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2017年01月23日 10時15分

彼氏のペットの「アリ」が怖くて殺虫剤を散布、大量死…損害賠償や慰謝料は?

彼氏のペットの「アリ」が怖くて殺虫剤を散布、大量死…損害賠償や慰謝料は?
写真はイメージです

ペットのアリが彼女に殺されたーー。ネット上の掲示板に、そんな書き込みが投稿された。 投稿者は「嫌いだからってありえない」と嘆いている。

投稿者によると、彼女が家に泊まりに来た際、酒を飲んだ後に添い寝をしていたが、「変な臭いと消したはずの灯り」で飛び起きた。すると目の前には、ペットのアリたちに殺虫剤を撒く彼女の姿。1万匹以上のアリが死んだそうだ。彼女は、投稿者が「餌のコオロギをハサミでバラバラにして入れて食い付く所」を見せた際に怖くなり、「やめて貰うには殺すしかない」と考えたのだという。

投稿者は彼女に10万円ほど請求したが、「高すぎる」と言われたという。投稿者は「水槽とかだけでいくらすると思ってんだ」「初めて飼ったときからいる女王が死んだのが辛すぎて仕方ない」とやりきれない様子だ。

大切に飼育していたペットのアリを殺虫剤で殺した彼女の行為は、法的に何らかの問題があるのだろうか。投稿者は、これまでアリの飼育にかかった費用を彼女に請求できるのだろうか。理崎智英弁護士に聞いた。

●ペットのアリを殺害…どんな問題がある?

「彼氏の『アリ』を殺した彼女は、民事上及び刑事上の責任を負うことになります」

理崎弁護士はこのように切り出した。

「まず、民事上の責任ですが、彼氏のペットと知りながらアリを殺した彼女の行為は、故意に他人の財産権を侵害しています。彼女の行為は不法行為(民法709条)に当たり、これによって生じた損害について賠償しなければなりません。

具体的には、彼女は彼氏に対して、アリの客観的価値相当分を支払う義務を負います。アリ1匹にどの程度の価値があるかは分かりませんが、仮にアリ1万匹で10万円の客観的価値があるとすると、彼女は彼氏に対して10万円を支払う義務を負います」

投稿者は、大切なペットを殺されてダメージを受けているようだが、慰謝料は請求できるのか。

「過去の裁判例では、ペットが家族同様の地位を占めていたような場合には、慰謝料が認められる傾向にあります。

ただ、裁判例のペットは、犬や猫のような社会一般にペットとして認められている動物で、アリのように、一般的にペットとして認知されていない昆虫が死んでしまったケースはありませんでした。

もっとも、アリであっても、飼う人にとっては家族同様の地位を占めるということもあり得るでしょう。そのような場合には、慰謝料が認められる場合もあるかもしれません。

なお、彼氏は、彼女に対して、アリの飼育にかかった費用(水槽の購入費用など)も請求したいようです。ただ、アリが死んでしまったことで水槽などの使い道がなくなってしまったとしても、水槽自体の効能が損なわれたわけではありません。例えば、新たに買ってきたアリをその水槽で飼育することもできますから、基本的には水槽などの費用を請求することはできません」

刑事上の責任はどうなるのか。

「刑事上の責任ですが、彼女の行為は、他人の財物である『アリ』を『傷害』しているため、器物損壊罪(刑法261条)に該当します。法定刑は、3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料です。

ただ、経済的価値がそこまで高くなく、初犯ということですと、警察も事件として立件しない可能性が高いです。立件したとしても、おそらく警察限りの『微罪処分』か、仮に送検されたとしても『起訴猶予』でしょうね」

(弁護士ドットコムニュース)

理崎 智英弁護士
一橋大学法学部卒。平成22年弁護士登録(63期)。東京弁護士会所属。弁護士登録時から離婚・男女問題の案件を数多く手掛ける。NAVERまとめの「イケメン弁護士三十選」に選出されたこともあり。
所在エリア:
  1. 東京
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