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岡口裁判官の分限裁判・緊急弁護士アンケート 101人のコメント全文(下)
画像はイメージです(kash/PIXTA)

岡口裁判官の分限裁判・緊急弁護士アンケート 101人のコメント全文(下)

岡口基一裁判官の分限裁判について、弁護士ドットコムが実施したアンケートには326人の弁護士からの回答があった。結果は以下の通りだ。

Q1 岡口裁判官への懲戒申し立ては妥当と考えますか。

申し立ては妥当→27人(8.28%)

申し立ては妥当でない→284人(87.12%)

わからない・どちらとも言えない→15人(4.60%)

Q2 岡口裁判官の行為は懲戒処分に該当と考えますか。

懲戒処分に該当する→22人(6.75%)

懲戒処分に該当しない→297人(91.10%)

わからない・どちらとも言えない→7人(2.15%)

自由回答欄には101人の弁護士からコメントが寄せられた。(上)に続き、この記事では、「処分不当(匿名)」のコメントを紹介したい。

(上)「処分妥当(実名・匿名)」「処分不明(実名・匿名)」「処分不当(実名)」はこちら→https://www.bengo4.com/other/n_8507/

【処分不当(匿名の弁護士)】

・当事者の感情を害したということを理由に申立てを行うのは、「不快に感じる人間がいるから止めろ」というものであり、その理屈ではあらゆる表現が認められないことになりかねない。今回の申立ては他の裁判官に対する萎縮効果も鑑みれば、不当なものというほかない。

・ムラの掟に反するから、処罰するという、あまりにも日本的対応に、人権意識のカケラも感じられず、絶望的な気持になる。

・瀬木比呂志元判事らが指摘されているように、最高裁による陰湿な司法統制のやり方が顕著に出ている。

・世の中の人と同じ数だけ価値観があり、そこに正義も不正義もないのではないかと感じます。裁判官も人であり多様性があることは人としての美しさなのではないかと思います。裁判官が人としてどのようなことを表現するかということはまさに表現の自由の範疇であり、職業として規制を受けるべきことではないと思います。裁判所や裁判官への国民の信頼というのも、多様な価値観を持った裁判官が、裁判という場では、公平中立に職務を行うことを信頼すること、裁判官がご自身の価値観に左右されて独善的な裁判にならないことなどが重要なのではないかと思います。岡口さんはご自身の人生をかけて、裁判官の在り方に疑問を呈されていると思います。分限裁判が行われることは、一つの岡口さんのような方や多様な価値観を裁判所が許容するかどうかが明らかになる大切な手続きかと思います。裁判官の世界が閉鎖的になり、価値観の多様性を許容できないようになってしまうと、ますます個人の価値観が尊重されるような流れの世の中と逆行する気がしてしまいます。

・裁判官の市民としての表現活動に対する不利益処分であり、許されない。

・これで戒告になれば、他の裁判官のみならず、一般社会に与える萎縮効果が凄そう。

・気に入らない裁判官を排除するという裁判所の思想が見られて恐ろしい。

・岡口裁判官ほど、裁判所の実情を伝えてくれる裁判官はいないと思っております。長年、岡口裁判官の書籍を業務で活用させていただいておりますところ、今後も陰ながら応援させていただきたい心境です。

・この程度のことであれば大目に見てもよいのではないか?

・裁判官の表現の自由は制限するべきでありません。司法当局による過度の統制はあまりに不健全。現場の裁判官は、上にいいなりの人間ではなく、議論や個性の発揮、ひいては表現の自由を重んじる人間であってほしい。司法全体の健全のためにも。

・この申立は表現の自由に対する重大な危険を示している。

・「裁判官にも表現の自由はある」。敢えてこう言わざるを得ないほど現状の裁判所には人権意識が欠如しているのです。岡口さん、司法界の小賢しい犬どもに負けるな。

・目立った行動を徹底的に排除しようとする動きに思える。岡口裁判官が懲戒に該当するほど悪質なことをしたとは到底思えない(少しデリカシーに欠けていたとは思うが)。裁判所の裁判官が、多様性とか理想とか正義とか、世論を動かす、そういう使命を忘れて、個人の出世や、裁判所組織内の平穏を全面的に是とし、それに相反する裁判官を目の上のたんこぶと見ているように思える。

裁判官もキャラクターを押し出し、この裁判官がどんな裁判をしたのか国民に知らせてほしい。それを実現してこそ、最高裁裁判官の国民審査も有意義なものとなると思う。閉じこもっていては、その組織は衰退する。

・狙い撃ちされている感がありあり。

・サラリーマン化する裁判官に大変危機感を持っています。正しいことは正しいという勇気を持ち、それを貫くことのできる人に、裁判官になっていただきたいのですが、岡口裁判官が指摘するように、それができない人がなっているのではないかと思われる節が多々見受けられます。

・岡口氏のTwitterでの発言内容自体、自らが関与していない裁判に対する論評または感想にすぎないもので、内容的にもさほど問題があるものとは思われません。岡口氏が裁判官であることは有名ですが、申立書の記載は、裁判官だと一般に知られていない人であれば、同様の発言をしても懲戒申し立てはされないようにも読めます。

Twitterでの発言によって感情を傷つけられた人がいるという理由で懲戒が申立てられていることは、裁判の場での裁判官の発言によって当事者が感情を傷つけられることがあっても懲戒請求されたという話を聞いたことがないことからしても、違和感を感じます。

・裁判官の地位に就いたものが、自由にものを言えなくなってしまった過度の司法統制の現状は、各裁判官による良心に基づく独立した司法判断の否定にも連なってしまっており、上ばかり見る官僚的な裁判官ばかりを生みだしており、裁判所に「正義の味方」を期待する素朴な国民にとって、期待を裏切る深刻な危機状況にあるといえる。

・イジメにしか見えない

・ 裁判官の表現の自由は大変重要であり、岡口裁判官に対する裁判所のやり方に憤りを感じます。岡口裁判官を応援します。

・国民の人権を守るべき裁判所が、内部では裁判官の人権に配慮しておらず、司法への信頼を揺るがしかねない事態だと思う。本件分限裁判の行方について非常に強い関心を抱いている。

・岡口裁判官が特別寄稿で指摘している、裁判所内での「忖度」「統制」といった風潮は、弁護士会においても共通しているように思われ、たとえば、アディーレ法律事務所への懲戒処分などは、これが顕在化したものではないかと思います。岡口裁判官への懲戒申し立てに物申すのもよいですが、弁護士は、まずは己を振り返って自戒する必要があるのではないでしょうか。

・部が一つしかない田舎の小さな裁判所では、自分のことを絶対権力者であると勘違いした部総括判事が、気に入らない弁護士に対してまでも、露骨な嫌がらせ(パワハラ的行為)をする例がある。私も、実際に被害を受けた。

・岡口裁判官、がんばれ! 

・職務の性質上、裁判官の表現に一定程度の制限があることは確かであるが、本件では政治的に偏向した発言があったわけでもなく、岡口裁判官一個人の問題であるから、分限裁判自体が失当の批判を免れ得ないものと考える。

・裁判官の表現の自由に対する規制自体は意見が様々あって良いと思うが、こと今回の申立てについては、岡口さんを疎ましく思っている上層部などによる恣意的なものだと感じている。

・表現の自由は憲法が保障する自由の中でも、最高度のものであるということを、司法は意識してほしい。

・裁判所の裁判官への表現の自由の侵害であり、申立ては極めて不相当と考える。

・裁判所には自由がないのだと思いました。

・これで懲戒申立てや分限裁判がされているようであれば、裁判官が萎縮してしまい、意見表明が今以上にできない事態となる恐れが強い。あたかも無味乾燥な裁判官像が想定されているのかしらないが、裁判官も人である以上、意見や政治的信条があるのは当然で、表明が強すぎるのはどうかと思うが、それなりに許容されるべきである。司法の役割からしても、裁判所は、少数者の人権の最後の砦として、人権意識に敏感であるべきで、裁判官の統制を強めるのではなく、裁判官の意見表明がもっとオープンにできる環境作りに努力して欲しい。

・表現の自由を制限する違法な申し立てであり、日弁連レベルで意見を出すべきだと考える。

・憲法で定められた裁判官の身分保障を実質的に踏みにじる行為であり、重大な問題である。

・裁判官についても一定の限度で表現の自由は認められるべきである。裁判官も人間であり、普段何を考えて、どう生きているのかを外部に表現することを認めるべきであって、それを認めることによって、司法への信頼はむしろ担保されるように思う。

・表現の自由に関わる問題であり、かつ裁判所による裁判官管理という裁判官の独立に関わる問題なので、注視している。

・表現の自由は大事なのは言うまでもありませんし、ツイッターの文章が自分の意見ではなくて引用によることもわかりますが、その一部を見ていろんな思いを持つ人がいることも事実ですし、引用元を参照せずに不快を感じた人がいる場合に、引用元を見てない方が悪いとも言えないと思います。ですから、そういう文章を世に出したことの批判はやむないと思います(オープンでいようとしながら、読み手には理解力を求めるのは、一方で閉鎖的な洗練された世界にもいようとするスタンスではないかと。賢い子が不良の真似をして、街で不良の子にどつかれて、いや僕は真似事しているだけで、って言い訳してもどつかれるでしょ、その世界に身をおいているのだから)。また、訴訟は当事者にとっては真剣勝負ですので、裁判官という立場で面白投稿的なやり方をするのは個人の価値観として全面的に賛成はできません。

したがって、お叱りを受けることまでは仕方ないかなと思います。

ただ、今回のことで懲戒処分という罰を与えることは行き過ぎだろうと思います。

・色々な意見があることを知ってもらうことはよいことなのに抑制する方向になりよくない

・分限裁判自体、裁判官の独立性を確保するために、公開とするべきである。まして、裁判所自体が今回の件についてマスコミにリークすること自体合理性がなく、むしろ守秘義務に違反しており、そのような裁判所の行為自体が分限裁判の対象になるのではないか。裁判官がTwitterをして発信することは表現の自由の範囲内であり、岡口裁判官のTwitterの内容自体は明らかに不適切な投稿ではなく、そもそも東京高裁長官が注意すること自体ナンセンスであり、分限裁判は合理的な理由のないものである。

・今の最高裁が、岡口さんをこのまま放置しておくはずがないと思っていました。来るものが来たか、との感想です。裁判所のあり方に意見を言ってどうこうなる段階はとうに過ぎていると思います。

・裁判官も自由に発言できるようにすべき。それが当たり前。

・当不当の問題と、「品位を辱める行状」に該当するかどうかとは、峻別されなければならない。また、公務員であるからといって、国家作用を批判することが常に許されないと考えるべきではない。

・今回の分限裁判を受けて、裁判所が少数者の人権を守ろうとする意識に欠けていることが明らかになった。裁判所は権力側の手先と化しており、裁判所に対して信頼ができなくなっている。

・懲戒処分には該当しないものと思われるが、裁判官という身分を明らかにして行う表現は、単なる一私人として行う表現に比べ、配慮が必要となるはずであり、この観点から岡口裁判官の表現は、不適切であったとの批判は免れないものと思われる。

・岡口裁判官のツイートに下品なもの、あるいは本人の意見か他者の意見の紹介なのかわかりにくい形の者があることは否定できないが、これを懲戒するのが表現の自由の不当な侵害にあたることは明らかであると思う

・裁判官の市民的自由の範囲であると考える。政権に批判的なツイートが多いことが今回の分限に関係していると考えられ、分限裁判自体が政府(国)の政策に批判的な裁判官をいっそう萎縮させることになるのを強く懸念する。

・苦情が出れば謝る、マスコミに出たら処分。言いたいことは言えない時代になり、裁判所も表現の自由を軽視するとは。とても怖く思います。このままではいけない。

・申立ては妥当ではないし懲戒事由はないものと考えるが、岡口判事の言動は人としての品位を欠いているようには思う。

・今回の申立の理由とされているtweetは問題視すべきものと思われず、他方で問題にすべきtweetやFacebook投稿がいくつかある。ピントのずれた申立と筋を外した反論によって、他の裁判官の真っ当な表現活動に対する萎縮効果が生じるとすれば残念と言う他ない。

・組織内における猛烈な逆風の中、「自分の権利を守れない者に他人の権利は守れない」として、孤高に闘う姿勢には感銘を受ける。

・ブルーパージの再来を恐れる

・このような論評的なツイートをして何故に懲戒申立てまでされてしまうのか、理解に苦しみます。

・この程度のことで分限裁判が行われたら、裁判官が委縮し、ひいては裁判官の独立が損なわれてしまう。

・私的な立場でのツイッターの利用自体の全面的禁止を求めることは表現の自由の明らかな侵害です。裁判所の内実を世に知らしめるためにも岡口判事には最後まで戦い抜いてほしいです。

・ 裁判官も、市民としての自由がある。コメントもいえないのでは、市民としての表現の自由がない。

・岡口裁判官の主張は全面的に正しいと思料する

・懲戒事由が何であるのかをハッキリさせて裁判を行ってほしい。裁判官に不当な萎縮効果を生じさせるメッセージとならないように。

・裁判所法49条「品位を辱める行状」は基準が曖昧で、私生活上の行為について安易に該当することを認めると、裁判官の私生活上の表現まで不当に制約することになりかねない。言論に対しては、まずは言論で対抗すべき。犬の元飼い主も、反論があるなら、岡口裁判官のツイッターに反対意見を投稿すべきだった。現に、同裁判官のツイッターに意見を投稿している人物も見受けられる。それを、高裁が横から出てきて懲戒処分でもって同裁判官の私生活上の表現まで封じ込めようとするのは表現の自由の侵害になると思われる。

・懲戒するような問題ではない。国民に開かれた司法の理念に反する。

・司法が官僚組織化し、裁判官の良心にもとづく独立を形骸化させ、裁判所が行政機関つまり権力組織の一部に堕するあるいは従属化が進行していることの証左ということができる。

・岡口裁判官のメッセージに激しく同意

・表現の受け取り手が未熟で誤解が生じる可能性はあるものの、その真意を知ることはできるわけで、一律な対応は裁判所に不信感を与える。

・たいした問題ではないのに、最高裁および東京高裁の過剰反応している。岡口裁判官のツイートは弁護士にとって大変勉強になるものが多かった。ここも見逃してはならない。基本的人権の尊重と社会正義の実現を使命とする弁護士は、常に多方面から情報収集をし、学習し続けなければならない。これは裁判官とて同じはずである。そういう意味でも岡口裁判官のツイートは仕事のための貴重な情報源でもあった。よく表現の自由は情報発信、情報流通、情報受信の一連の流れを保護しなければならないと言われるが、岡口裁判官のツイート遮断は、まさに情報発信、情報流通の過程が遮断されている状態である。もう一度、申し上げるが、たいした問題ではないことに裁判所が過剰反応し、結果的に、表現の自由を侵害している状態である。

・裁判所側が意地になっているような気がします。

(弁護士ドットコムニュース)

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