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いじめ問題の文書保管などルール整備を…日弁連、いじめ防止対策推進法の意見書提出
会見する村山弁護士(右)ら

いじめ問題の文書保管などルール整備を…日弁連、いじめ防止対策推進法の意見書提出

「いじめ防止対策推進法」の実効性を高めるためには、法改正が必要だとして、日弁連は1月30日付けで文部科学大臣に意見書を提出した。いじめ自殺など重大事態があった場合に設置される調査委員会で、文書が破棄されるなどの事例があったことなどを受け、文書の取得、作成、保管などを義務付けるルールを求めている。

2013年9月に施行された「いじめ防止対策推進法」は、施行後3年をめどに必要に応じて見直しを求める規定があり、文部科学省は2017年3月に同法に基づいて国が定める基本方針を改定した。

これに対し意見書では、枠内の改善だけでは限界があるとして、(1)いじめの定義規定、(2)いじめに対する学校の対処に関する諸規定、(3)重大事態が起こってしまった場合の調査及び情報共有などに関する諸規定ーーの3点について法改正が必要だとしている。

●いじめの定義が広すぎて、学校が認定しようとしない傾向も

現在の「いじめ防止対策推進法」では、「一定の人間関係」のもとで「心理的物理的な影響を与える行為」で、対象の児童が「心身の苦痛を感じ」れば、いじめだと定義されている。

しかし、日弁連がいじめ事例に関わった弁護士にアンケートを行った結果、この定義が広すぎるがゆえに、学校がなかなかいじめを認定しようとしなかったり、逆に定義上の「いじめ」に該当するとして、一律に厳しい処分を行ったりする事例があったという。

また、同法では、いじめ自殺など重大事態があった場合に、教育委員会や学校に対して調査委員会の設置を義務づけている。しかし、実際に弁護士が調査委員会に携わったところ、明確な法令上の根拠がなく調査が十分にできなかったり、調査を妨げるような形で文書が廃棄されたりといった事案があった。

そのため、文書の取得や記録の作成、文書の保管などについて義務付ける規定の整備を求めている。

日弁連が1月31日に開いた記者会見で、日弁連・子どもの権利委員会いじめ問題対策PT座長の村山裕弁護士は「いじめ事例に関わった弁護士を対象にアンケートをしたり、文科省のいじめ対策協議会にも委員を派遣して検討状況を聞いたりしながら、どういう課題があるかということを検討してきた。

文科省も昨年3月に改定をしているが、これはいじめ防止対策推進法の枠組みの中でやっているので、推進法自体が持っている問題に十分対応できないだろうということでこのような提案をするに至った」と話した。

(弁護士ドットコムニュース)

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