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対立激化の海賊版対策、まとまらず迷走 中間まとめ→× 報告書→× 延長も不透明
「インターネット上の海賊版対策に関する検討会議」の様子

対立激化の海賊版対策、まとまらず迷走 中間まとめ→× 報告書→× 延長も不透明

知的財産戦略本部の「インターネット上の海賊版対策に関する検討会議」の第9回会合が10月15日、東京都内で開かれた。海賊版サイト対策として、ブロッキング(アクセス遮断)を導入するべきかどうかで対立が深まる中、事務局の「中間まとめ案」をめぐって、またしても意見がまとまらなかった。

村井純・共同座長が「中間まとめ」ではなく、「報告書」というかたちにすることを提案したが、ブロッキング反対派から最後まで賛同を得られないまま、閉会となった。座長サイドとしては、少なくとも、何らかのかたちで書類にまとめたい考えだが、今後の見通しも不明で、「前代未聞」の混迷がつづいている。

●森委員「両論併記によって、法制化にすすんでしまう」と懸念

このタスクフォースの「中間まとめ」は、当初のスケジュール上、9月中旬ごろにはできあがるはずだったが、ブロッキング賛成派と反対派が激しく対立しつづけている中で、予定通りにすすんでいない。ブロッキング反対派からは、事務局の「中間まとめ案」に反対する意見も出ていた。

こうした状況を受けて、村井・共同座長はこの日、「ブロッキングに関する法制度整備については、意見がまとまらなかった」という文言を盛り込んだうえで、「中間まとめ」というタイトルではなく、これまで議論したことを残した「報告書」というかたちにするのはどうかと提案した。

ブロッキングに反対している森亮二委員(弁護士)は「両論併記(の文章にすること)によって、法制化にすすんでしまう」として懸念を示して、「報告書」とすることについても猛反対した。この意見を受けて、ブロッキング賛成の川上量生委員(カドカワ社長)は「『法制化にすすむから』ということが、(両論併記)反対の根拠になりえるのか」と批判した。

●座長サイドとしては、何らかのかたちで紙にまとめたい考え

福井健策委員(弁護士)は「海賊版対策として)やれることはやろうよ、ということに争いはない。(会議を)無期限延期にして、報告書というかたちにして、パブリックコメントをとらないようにしてはどうか。やれることをきちんと実施して、検証する。そうしないと、これ以上、議論をすすめられない」と互いが譲歩できるラインを探った。

この案についても、委員の中で賛成・反対の意見があがった。村井・共同座長はこの日、タスクフォースを延ばして、議論をつづけるかどうかについて、明言を避けた。このあとも会合が開かれるかどうかは現段階でわかっていない。中村伊知哉・共同座長は、会議を無期延期としたうえで、これまでの議論を何らかの書類にまとめたい考えを示した。

(弁護士ドットコムニュース)

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