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高プロ、対象の議論スタート…年収1075万円「通勤手当込みで」厚労省素案
労政審の様子

高プロ、対象の議論スタート…年収1075万円「通勤手当込みで」厚労省素案

2019年4月から始まる「高度プロフェッショナル制度」(高プロ)の「省令」について、労使の代表者らが議論する、厚労省の労働政策審議会(労政審)の分科会が10月15日に開かれ、年収要件などをめぐり意見が交わされた。

高プロは、一部の高収入専門職を労働時間規制から外す制度。使用者側が「柔軟な働き方ができる」と期待する一方、労働者側は「長時間労働の歯止めがない」などと懸念している。

法律の条文では、年収要件や具体的な業種などが具体的に決まっておらず、省令12項目や指針を定める必要がある。

●交通費込み「1075万円」は高いのか低いのか

たとえば、高プロの年収要件は法律で、「年間平均給与額の3倍の額を相当程度上回る水準」とされている。具体的にはいくらなのか。厚労省の事務局がつくった省令素案では、国会などでの議論を踏襲し、「1075万円」とされた。

では、この1075万円の中に、通勤手当などは含まれるかーー。労働者側からの質問に、事務局は含まれると回答。「支払われることが確実に見込まれる」ものは、「コミコミ」という見解を改めて示した。

「(通勤手当は)労務提供の対価ではないという指摘だと思うが、給与の体系、名目、組み立ては企業においてさまざま。1075万円で(労働者の企業に対する)交渉力を担保していると考えている」(事務局)

労政審

労働者側の委員からは、「1075万円」の基準となるデータはパート労働者らも含むため、正社員に限定したデータを使うべきとの意見も出た。

●対象が決まらない中の議論

対象業務について、今回の素案では仕事時間について裁量がある労働者に限定した上で、具体的な業種は次回に議論するとしている。なお、2015年の労政審建議では、金融ディーラーやアナリストなどを念頭に置いている。

今回は、対象となる労働者イメージが具体的でない中での議論だったこともあり、使用者側の委員からは、「高プロが、どういう仕事なのか。イメージとして共有されてなさすぎる」として、次回の議論に向けて「労使で情報・認識を共有する必要がある」との意見も出ていた。

(弁護士ドットコムニュース)

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