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欠陥製品事故、泣き寝入りを防げ…東京弁護士会、9月28日に「PL被害」電話相談
宮城朗弁護士=司法記者クラブ=

欠陥製品事故、泣き寝入りを防げ…東京弁護士会、9月28日に「PL被害」電話相談

健康食品や化粧品などによる、消費者の身体被害が増えているなどとして、東京弁護士会は無料の電話相談会「PL被害(製造物責任)110番」を9月28日の午前10時〜午後4時まで実施する。製品や生活用品などによる事故についても受け付ける。番号は03-5251-2260。

欠陥製品による被害を受けたとき、製造者らに損害賠償を求められるとした「製造物責任(PL)法」。1995年の施行以来、20年以上たつが、訴訟件数は決して多くない。消費者庁が把握している事件は、22年間で400件ほど。年平均で約20件しかない(2017年3月30日現在)。

これに対し、消費生活センターには2016年度だけで、製品などが原因でけがや病気をしたという相談が、1万1602件も寄せられている。中には消費者の誤解や話し合いで解決した事案も含まれるだろうが、裁判には至りづらいのが現状だ。

宮城朗弁護士(東京弁護士会)によると、件数が伸び悩んでいるのは、欠陥について、消費者側に重い立証責任が課されているからだという。商品知識もお金もない一般消費者が、企業に対して裁判を挑むことは困難だ。東京弁護士会は泣き寝入りしている被害者が多いとみている。

特に被害が増えていると考えられるのが、健康食品や化粧品の分野。消費生活センターの2016年度の相談で、もっとも多かったのが「健康食品」関連で1866 件(16.1%)、2番目が「化粧品」で1168件(10.1%)だったという。「茶のしずく石鹸」やカネボウ化粧品の「白斑」問題が記憶に新しいところだ。

●消費者の「立証責任」ではなく、製造者の「反証責任」求める方向へ

PL法制定の議論の中では、消費者が適正に使っている中で被害にあったときは、製品に欠陥があると推定する「推定規定」の導入も検討されていた。製造者側が欠陥のないことを反証しなくてはならないため、企業の反対で盛り込まれなかったという経緯があるそうだ。

宮城弁護士は、「今のPL法は必ずしも有効に機能していないのではないか。電話相談で、情報を集約したいという思いもある。推定規定を入れるべきという立法提言につなげたい」と話している。

(弁護士ドットコムニュース)

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