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「おいしい日本酒をどうぞ」中身は洗剤、客が嘔吐…提供した店は罪に問われる?
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「おいしい日本酒をどうぞ」中身は洗剤、客が嘔吐…提供した店は罪に問われる?

秋田市の飲食店が8月19日、日本酒と間違えて客に洗剤を提供してしまい、飲んだ客の女性2人が嘔吐などの症状で病院に運ばれる出来事があった。

報道によれば、店員が日本酒の空き瓶に洗剤を入れて保管をしていたところ、誤って客に提供してしまったということだ。2人の命に別状はなく、店は5日間の営業停止処分を受けた。

今回の事例に限らず、過去にも同様の事故は起きている。誤って提供した場合でも、法的な責任を問われることはあるのだろうか。また、故意に提供した場合には、どのような罪になるのか。正木健司弁護士に聞いた。

●誤って提供、どんな罪になる?

「飲食店が、日本酒のはずが誤って客に『洗剤』を提供してしまった場合、過失傷害罪(刑法209条)に問われる可能性があります。また万が一、客が死亡してしまった場合には、業務上過失致死罪(刑法211条)に問われる可能性があります」

民事上の責任については、どうだろうか。

「いずれの場合にも、基本的には民事上の責任も問われることとなるかと思われます。

そして、民事上の責任については、客が飲食店に対し、債務不履行に基づく損害賠償請求(民法415条)ないし不法行為に基づく損害賠償請求(709条)をし、治療費や通院慰謝料、後遺障害慰謝料等の損害賠償請求を行うことが可能です」

なお、もし「誤って」ではなく、確信犯で(故意に)提供した場合にはどうか。

「仮に、飲食店が『洗剤』を日本酒と偽って、故意に提供し、客に健康上の被害が発生した場合には、当該従業員は、傷害罪(刑法204条)に問われることとなり、この場合にも客は、上記のような民事上の損害賠償請求を行うことが可能です」

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

正木 健司
正木 健司(まさき けんじ)弁護士 弁護士法人名城法律事務所
先物取引、証券取引、デリバティブ取引などの投資被害事件、金融商品取引訴訟を多数取り扱う。名古屋投資被害弁護士研究会代表。先物取引被害全国研究会幹事。全国証券問題研究会幹事。愛知大学法科大学院非常勤講師(消費者法)。ケフィア事業振興会被害東海弁護団事務局長。K&A投資被害弁護団事務局長。

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