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「家を売ろうとする母、どうすれば」カルト問題相談会、銃撃事件きっかけに来訪者急増
相談者が相次いだカルト問題相談会(2022年7月29日、都内、弁護士ドットコムニュース撮影)

「家を売ろうとする母、どうすれば」カルト問題相談会、銃撃事件きっかけに来訪者急増

安倍元首相の銃撃事件で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に注目が集まる中、日本基督教団は7月29日、都内でカルト問題相談会を開いた。2カ月に1回開いている定期的な会だが、前回は1件、前々回は2件だった。この日は7件15人ほどが訪れ、全て旧統一教会についての相談だった。親を脱会させたい2世だけでなく、子やきょうだいの今後について悩む人々の姿があった。

●「母がいなくなれば全て収まるとすら思った」

同教団は全国のプロテスタント系のキリスト教会の集まり。相談会は約2時間で、関心の高まりを受け、牧師や弁護士、元信者の家族などスタッフをいつもより増員して待っていると、続々と相談者が集まってきた。

相談に来ていた3人の女性が、前のめりになって話を聞いていた。30代の姉妹と伯母だという。母親が入信して30年以上。父が亡くなって以降、献金がエスカレート。壺などを購入して、年金の1割を献金する日々だという。実家で1人で暮らす母のもとには教会関係者が出入りし、最近は家を売ると言い出しており、対策を考えあぐねていた。

相談に対応した全国統一協会被害者家族の会(略称:家族の会)の男性は妻を脱会させた経験があり、「困っている自分たちが被害者だと思っていてはダメなんです。マインドコントロールされている信者は、いいことをしていると思っている。『家族のことを考えてくれてありがとう』と話を聞くことが大事ですよ」と話す。

対応した牧師も言う。「ご本人は家族のために信仰を続けている。北風と太陽というでしょう。否定しないで、温かくほんわかした雰囲気で、お話ししてください」

女性たちは「来るまですごく不安だった。正直、母がいなくなれば全て収まるとすら思ったこともあります。修羅場は何度もあった。交渉の仕方を変えて、家族の会にも参加したい」と言い、ほっとした様子で帰っていった。

●「報道を見るなと指示している可能性がある」

マインドコントロールされた信者の脱会には、牧師らのカウンセリングが不可欠とされている。日本基督教団には、30年前の脱会ピークの時代から携わる牧師も複数いる。

2003年11月に発足した家族の会は電話やメールで今も相談を受け付けている。家族の会の男性は「脱会は簡単ではない。今回の事件でも彼らは『報道しているテレビを見るな』などと指示している可能性があります」と話す。

関東地方に住む別の女性は、30代の妹について相談に来ていた。妹は大学時代に入信し、その後は旧統一教会とは関係していないと思っていたものの、今年4月ごろに家からさまざまな書籍などが見つかり、今も活動を続けていることが分かったという。合同結婚式で結婚した相手との間に4人の子どもがいる。

一緒に来ていた叔母の60代女性は「東北地方に住む彼女の母親は心労でダウンしています。だれにも相談できなくてつらい思いをしている。お金のことはいいんです。カルト教団との関わりを絶ちたいんです」と話していた。

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