民法改正による成人年齢の引き下げに伴って、アダルトビデオ(AV)出演契約を結んだ18歳・19歳であっても「成人」として扱う――。政府がこのほど閣議決定した答弁書の内容だ。
この答弁書は、立憲民主党の塩村あやか参院議員の質問主意書に答えたもの。たとえAVの出演契約であっても、18歳・19歳は未成年取消権をつかえなくなるという国の考えが示されたかたちだ。
●「とんでもない回答だ」(塩村議員)
参議院のウェブサイトで公開された答弁書は「成年年齢引下げに伴い必要となるアダルトビデオ出演強要問題への対応に関する質問主意書への答弁書」(3月1日付け)。
<成年年齢引き下げ後、特定の政策目的から、特定の取引類型について、当該取消権を行使することができる者を成年となった18歳、19歳の者にまで拡張することは困難であるが、いわゆるアダルトビデオ出演契約を締結したとしても、不当な手段によって締結された契約については、詐欺、強迫等を理由とする取消権を行使することが可能である>
つまり、AVの出演契約においても、未成年取消権の対象を18歳・19歳にまで広げられないという判断を示したものだ。一方で、不当な手段によって締結された契約については、詐欺や強迫などを理由として取消権を行使できるとしている。
しかし、若年層への性暴力被害増加が懸念されている。塩村議員は弁護士ドットコムニュースの取材に、政府からの回答について「とんでもないと思います」と述べたうえで、3月8日の内閣委員会で取り上げるとした。
一方、政府は別の答弁書で、本人の意に反した出演強要はあってはならないことで、取り締まり強化や教育・啓発など被害予防に取り組んでいるとした。ただし、2018年の国会答弁で、上川陽子法相(当時)がすでに同様の見解を述べている。