注文していない商品が突然家に届くーー。こんなときは、どのように対応することが望ましいのだろうか。
今年4月には、新型コロナウイルスに便乗して一方的にマスクなどを送りつけ、高額な代金を請求する「送りつけ商法」に消費者庁が注意を呼びかけていた。
また、8月には注文していない謎の種子が国際郵便で送られてくるという相談が農林水産省植物防疫所や国民生活センターに相次いだ。報道によると、請求書などは同封されていないが、電話番号と思われるものが記載されているものもあり、「送りつけ商法」の可能性がある。
国民生活センターによると、ほかにも勧誘電話を断ったにもかかわらず健康食品が届いたり、申し込んでいない鮭の切り身セットが届いたりしたという相談が寄せられているとのことだ。
●生ものであっても、勝手に処分するのはNG
弁護士ドットコムにも「まったく知らない所から荷物が送られてきて、開封すると頼んだ覚えのないブランケットが入っていました」という相談が寄せられている。
このように一方的に送られてきた商品は勝手に処分してもよいのだろうか。消費者問題を扱っている大和幸四郎弁護士は、次のように説明する。
「特定商取引法は、こういった問題に対して規制を設けています。商品購入の意思がないのなら、商品の送付があった日から数えて14日間は、商品を使用・消費しないでください。もし業者が引き取りに来た場合などは、返還しなければなりません。
この期間内に使ったり、処分したりしてしまうと、購入する意思があったとみなされますので気をつけてください。
一方、この期間を過ぎると、業者は送り付けた商品の返還を請求することができなくなります。つまり、14日間が経過すれば、受け取った側は使用・消費しようが捨てようが自由に処分することができます」
問題は海産物などの「生もの」が届いた場合だ。カニや鮭の切り身などは腐ってしまうことも考えられる。大和弁護士によると、このような場合でも、特定商取引法 により14 日間は保管義務が発生するという。
「届いたものが生ものであったとしても、使用したり処分したりすると、購入の『承諾』とみなされ、代金を支払わなくてはなりません。そのため、注意が必要です。
困ったときは、最寄りの駐在所または警察相談専用ダイヤル「#9110」や消費者110番「188」に連絡をしてください」
●代金の支払いや記載された番号への電話はしないで!
場合によっては、荷物は代引きで届くこともある。国民生活センターには、ほかの家族がすでに代引きで支払ってしまったという相談も寄せられているという。
大和弁護士は「絶対に代金を支払わないでください」と警鐘を鳴らす。
「身に覚えのない『代金引換』の荷物は受け取らないことです。お金をいったん支払ってしまうと、取り戻すのは簡単ではありません。また、受け取った荷物の中に請求書が入っていたとしても絶対に代金を支払わないでください」。
しかし、国際郵便で届く「謎の種子」のように、請求書はなくとも電話番号のようなものが記載されている場合もある。中には、荷物は送り間違いではないかと考え、記載されている番号に電話をかけてしまう人もいるだろう。
大和弁護士は「電話の先には詐欺師が待っていて、詐欺にあう可能性があります。電話はやめてください」と注意喚起する。