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豊胸手術、ジェル注入で健康被害 5年後に合併症のケースも
会見する大慈弥理事長(左)ら

豊胸手術、ジェル注入で健康被害 5年後に合併症のケースも

美容医療の豊胸手術で、乳房にジェル状の充填剤を注入したことでしこりや感染症などの被害が相次いでいることが、日本美容外科学会(JSAPS、大慈弥裕之理事長)が行った全国アンケート調査の結果からわかった。

学会は11月27日、東京・霞が関の厚生労働省で会見し、「非常に安易な施術で誰でもできるため、多く行われている。施術を受ける前にリスクについて説明を受けてほしい」と呼びかけた。

●豊胸手術の約46%が「充填剤注入」

豊胸手術には、シリコンの塊を挿入する「シリコンインプラント」、お腹などの脂肪を乳房に注入する「脂肪注入」、ヒアルロン酸や化学物質などジェル状の素材を注入する「充填剤注入」などの方法がある。

中でも「充填剤注入」は注射器で胸の周りから注入するだけと手軽なため、多くのクリニックで行われており、学会が昨年行った「全国美容医療実態調査」でも2017年の豊胸手術の約46%をしめた。

学会が今年6〜7月、日本形成外科学会の会員など3874人を対象に行った調査によると、回答した132人の医師のうち72人(55%)が充填剤注入が原因の合併症を診察していた。症状は、しこりなどの塊が44%、感染症が22%、皮膚変化が8%などだった。また、回答した医師132人が行った豊胸手術の半数以上が、術後5年以上経ってから合併症を発症していた。

●韓国では中止勧告

大慈弥理事長によると、豊胸手術は世界的にはシリコンインプラントと脂肪注入が標準的治療で、2016年には韓国の学会が日本でも多く使われている充填剤「アクアフィリング」を使った豊胸手術の中止勧告を出している。

日本でも関連学会が会員に注意喚起を行ったが、個人輸入でそうした充填剤が使われており、合併症の報告が相次いでいるのが実態だという。大慈弥理事長は「術後長期間にわたって、形成外科など医療機関で健診を受けていただきたい」と話した。

日本美容外科学会は関連学会と連携し、ジェル状の充填剤の使用中止をうながすガイドライン策定を目指している。

(弁護士ドットコムニュース)

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