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メルカリ契約社員「雇い止め」で労働審判申し立て 「使い捨ての駒の扱い」と訴え
メルカリ(同社ホームページより)

メルカリ契約社員「雇い止め」で労働審判申し立て 「使い捨ての駒の扱い」と訴え

フリマアプリ「メルカリ」(東京都港区)で契約社員として働いていた女性(30代)が2月1日、不当な雇い止めにあったとして、東京地裁に労働審判を申し立てた。

女性は、3カ月更新の契約社員として入社。雇用契約を複数回に渡って更新(2回目以降は半年更新)したが、会社側は雇用契約を更新しないと通告。雇い止めにあった。

女性は「会社側の対応は不可解でずさん。個人ではなく使い捨ての駒のように扱われた」と不信感を抱いている。

●女性「どこまで人を適当に扱うのか」

入社当初、在職期間に定めはなかったが、2018年5月、労働条件通知書に新たに「在籍期間は、最長で4年とする」との記載が入った。別途説明はなく、周りで契約社員として入社した人は皆3〜4年で正社員になっていたことから「皆正社員になっているし、自分もなるのかな」と考えていた。

その後の面談の際、改めて「契約はどうなるのか」と聞いたところ、「正社員になる可能性はなくはない」などと濁されたという。

しかし、その数ヶ月後に行われた面談で、突然、更新打ち切りを言い渡されたという。

女性は「雇い止め時の評価は、明らかに評価面談に合わせて意図的に書いたような中傷に近いものでした。普段の労務管理もずさんで、退職時の対応もひどく、どこまで人を適当に扱うのかと思いました」と憤る。

●代理人「無期転換ルールの適用を免れるため」

代理人の戸舘圭之弁護士は、今回の雇い止めを「無期転換ルールの適用を免れるためになされたもの」とみている。

無期転換ルールとは、同じ職場での有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えた(6年目の更新時を迎える)とき、労働者が希望すれば、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できるルールのことだ。

労働契約法の改正により、2018年4月以降に勤続5年を超える有期労働者に申し込み権が発生するようになった。今回の事案では、「無期転換ルール」の適用が始まった1カ月後、新たに在職期間の定めが追加された。

戸舘弁護士は「女性は勤務態度も特段問題はなかった。既に雇用継続への合理的期待が生じており、客観的に合理的な理由を欠いていることから、雇い止めは認められない」と話している。

●メルカリ「お答えすることができません」

メルカリは弁護士ドットコムニュースの取材に対し、「2月1日付けで当社元従業員より労働審判の申立があったことは事実ですが、個別の事案と認識しており、内容の詳細についてはお答えすることができません」と回答した。

労働審判とは、裁判官と労働審判員2人(労働者側代表と使用者側代表の1人ずつ)で構成される労働審判委員会が、原則として3回以内の期日で審理するもの。話し合いによる解決に至らなければ、労働審判が下される。異議があれば、通常の訴訟に移行することができる。

(弁護士ドットコムニュース)

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