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デキる派遣社員の「正社員登用」、検討したら派遣会社からクレーム…引き抜きはNG?
写真はイメージです。

デキる派遣社員の「正社員登用」、検討したら派遣会社からクレーム…引き抜きはNG?

「うちの会社にきていただいている派遣さんが、スゴく有能なので、正社員登用を検討して上司に上申したところ、派遣会社さんから強烈なクレームが入った」。そんなツイートが投稿されました。

「派遣会社はハローワークじゃないからなあ」、「これが普通だったら、派遣は死ぬまで派遣ってことにならないか?」、「契約の切り替えってことで、三者で合意する必要があるのでは?」などとコメントが寄せられています。

派遣中に正社員として雇用することは可能なのでしょうか。派遣会社との合意がない限り、できないのでしょうか。野澤裕昭弁護士に聞きました。

●派遣元がクレームをつけるのは当然

派遣元と派遣先の関係は、法律でどうなっているのでしょうか。

「派遣労働では、労働者は派遣元(派遣会社)と雇用契約を締結し、派遣元は派遣先と労働者派遣契約を結んで労働者を派遣し、労働者は派遣先の指揮命令に従い働くという法律関係になっています。派遣元と労働者(派遣労働者)との間の契約は一般の雇用契約と同様であり、解雇、辞職、雇い止めの法理が適用されます」

では、派遣中に労働者を正社員として雇用することは可能なのでしょうか。

「派遣中に派遣先が派遣労働者を引き抜いて正社員にするということは、派遣元からすると雇用している労働者を雇用期間中に他社が自分のところに就職させるのと同様の関係になります。

派遣元は労働者を派遣して収益を上げる目的をもっているので突然引き抜かれることは損失になります。派遣元がクレームをつけてくるのはそうした理由からでいわば当然と言えます」

労働者が派遣先で雇用してもらうことになった場合、どうしたら良いのでしょうか。

「派遣元と派遣労働者の雇用契約の内容が期限の定めのないものであれば、民法の原則に基づき、労働者はいつでも解除を申し出ることができます。解除申し出後2週間経過すれば、雇用契約が終了するので、その後派遣先と新たに雇用契約を締結することができます。

しかし、有期の労働契約の場合は、期間満了前まではやむを得ない理由がないと解除できません。原則として期間満了をまって、派遣先との契約を締結することになります」

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

野澤 裕昭
野澤 裕昭(のざわ ひろあき)弁護士 旬報法律事務所
1954年、北海道生まれ。1987年に弁護士登録。東京を拠点に活動。取扱い案件は、民事事件一般、労働事件、相続・離婚等家事事件、刑事事件など。迅速かつ正確、ていねいをモットーとしている。趣味は映画、美術鑑賞、ゴルフなど。

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