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「接待ゴルフ」なのに「月6万円」を自腹負担…経費申請、休日手当の請求は可能?
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「接待ゴルフ」なのに「月6万円」を自腹負担…経費申請、休日手当の請求は可能?

接待ゴルフで自費は当たり前なのかーー。ネットのQ&Aサイトにこのような相談が寄せられた。相談者の夫は、客の接待ゴルフや休日に上司から誘われたゴルフで、月に6万円使っていて、痛い出費となっているようだ。相談者は「通常、会社で負担してくれるものじゃないのでしょうか?」と不満を投げかけている。

接待ゴルフにかかったお金を経費として申請することはできるのだろうか。また、休日の接待ゴルフについて、休日出勤手当を支給してもらえるのだろうか。戸田哲弁護士に聞いた。

●接待ゴルフは経費申請できる?

「ゴルフは強制されずにやりたいものです。せめて会社が『コンペ代も、休日手当も会社が出してやるよ!』と認めてくれればいいですが、このご時世そうもいかないですよね。

まず、接待ゴルフが経費として申請できるか検討します。

基本的には、業務のために必要な費用であれば、立て替えた費用を会社に請求することができます。たとえば、出張時の新幹線代を立て替えた場合は、当然会社に請求しますよね。この新幹線代は、出張という業務のために必要な移動費用であり、当然、会社が負担すべきです。

これに対して、接待ゴルフは、一般的には会社の『業務』とは言いにくい性質があります。取引先との付き合いという目的は、業務と関わりはあります。ただ単に上司に誘われただけ程度のものであれば、経費を会社に請求するのは難しいでしょう。

もっとも、具体的な商談を兼ねるような場合や、会社から参加命令されるような場合であれば、請求できる可能性はあります」

休日出勤の手当は認められるのだろうか。

「休日出勤手当の支給ができるどうか。結論から言えば、経費請求以上に厳しいですね。

休日出勤手当が支給されるには、接待ゴルフが『休日労働』として評価される必要があります。結局、接待ゴルフが、会社から『強制』され、参加を『余儀なくされた』といえるかどうかの話です。なかなかゴルフでここまでは言えないでしょう。

当事者からすれば、『断りづらく、強制だった』という認識であっても、強制されたと証明するのは困難でしょう。会社からかなり具体的な指示・命令がなければ、接待ゴルフで休日手当を支給してもらうことは残念ながら、難しいです」

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

戸田 哲
戸田 哲(とだ さとし)弁護士 弁護士法人戸田労務経営
千葉県弁護士会 労働問題対策委員会副委員長。労働者側・使用者側の双方の事件を数多く取り扱い、「労働」分野の総合対応を強みとする。労働事件専門講師経験も多数(弁護士会主催研修、社会保険労務士会主催研修、裁判所労働集中部主催労働審判員対象研修等)。Ⓡ労務調査士

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