「彼女とデートなう。に使っていいよ笑」。1000年に1人の美少女として注目を集めたタレント、橋本環奈さん(18)が6月6日、このような文言を添えて、自身の顔がうつった写真をツイッターで公開したところ、大きな反響を集めた。
橋本さんの投稿によると、友だちから送られた写真を見ていたところ、高校からバスに乗って帰るときに撮ったこの写真を発見したという。マフラーを巻いた、笑顔の橋本さんがうつっている。ツイッターでは「可愛すぎる」「使います」などの声が寄せられ、すでに15万リツイートと46万いいねとなっている(6月8日8時現在)。
これまでもツイッター上では、アイドルやタレントなどが「◯◯とデートなう。に使っていいよ」と写真を投稿して話題になっていた。今回のように、持ち主が「使っていいよ」と投稿している写真は、どんな使い方をしてもよいのだろうか。深澤諭史弁護士に聞いた。
●無制限な利用を許すものではない
――ツイッター上で「◯◯とデートなう。に使っていいよ」と写真を投稿することが流行している。こういう場合、どんな使い方をしてもよいか
「もちろん制限はあります。写真は、法律上、著作物です。原則として、撮影した人(または撮影をお願いした人)に著作権があります。著作権は、創作物について、複製や公衆への送信を独占する権利で、原則として、著作権者の同意なしに、著作物を勝手に複製等することはできません。
今回の投稿者、つまり著作者が同意しているのは『◯◯とデートなう。』に使うこと、つまりそういう形式での複製等だけです。それ以外については、同意していないといえます。同意がない範囲で複製等することは、著作権の侵害になります」
――たとえば、誹謗中傷や、性的な言葉を付けて投稿する行為は問題があるのか。
「先ほど申し上げたように、『◯◯とデートなう。』という使い方で複製等すること『だけ』が許されています。ですから、中傷や性的な文言を付けて、複製や公衆送信することに同意はありませんので、著作権の侵害になりえます。
ほかにも、著作権者には、改変や名誉を害する利用を許さない権利もありますので、この点からも問題になるでしょう。内容によっては、名誉毀損の問題も出てくると思います」
――写真等の無料配布は、インターネットでよく行われている。注意すべき点はあるか。
「何よりもまず、『どの範囲で許可されているか』をちゃんと把握することです。よくある誤解ですが、『無料や公開されているものは、どう使ってもよい』という理解は間違いです。
裁判例には、電話帳で公開しているからといって、パソコン通信で公開する行為は『違法である』と判断したものもあります。あるいは、無料放送されているものでも、録画したものを別に複製して配布することは著作権の侵害になります。
『無料』『公開』が、無制限な利用を許すものではないことを自覚したうえで、その条件・範囲をちゃんと確認することが大事です」