都内の居酒屋でアルバイトをしているHさんは、客から渡される「チップ」の扱いについて悩んでいる。
月に2、3回、手渡しで渡される「チップ」。一万円札を握らせてくれたこともあるそうだ。Hさんは「『ラッキー』と思って持ち帰っていた」そうだが、本当はお店に申告する必要があるのではないかと疑問を抱いている。
接客中に「チップ」としてもらったお金を店に報告する必要はあるのだろうか。濱田諭弁護士に聞いた。
●雇用契約の内容次第
「『チップ』の取扱いについては店によって様々ですが、基本的に『チップ』は接客を受けたお客様がお礼の意味を込めて、接客を担当した店員に渡すものですので、店に対して渡したのではなく、店員個人に渡したものということになります。法律的に評価するとお客様から店員個人への『贈与』になります。
そうすると『チップ』をもらった店員は自分自身がお客様から『贈与』された『チップ』について店に報告する必要はないことになりそうです」
では黙っていても問題ないのか。
「もし店との雇用契約書や店の就業規則で『業務を利用して許可なく客から金品を受け取ってはならない』「業務中に客から金品を受け取った場合には店に報告しなくてはいけない』等の決まりがあれば店員はそれに従わなくてはいけません。
お客様から『チップ』を受け取った際、それを自分自身のものとして『もらう』ために店の許可を得る必要がある場合や、チップを自分自身のものとして『もらった』後に店へ報告しなくてはいけない場合があるということです。
本件のHさんについても、働いている店との雇用契約の内容次第では『チップ』としてもらったお金を店に報告する必要があることになりますね」