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上司からの性暴力「PTSDで休職後、復職拒否された」 東京税理士会支部の元職員が提訴
会見を開いた代理人の長谷川悠美弁護士(左)と青龍弁護士(弁護士ドットコム撮影、2020年11月16日、東京・霞が関の厚労省記者クラブ)

上司からの性暴力「PTSDで休職後、復職拒否された」 東京税理士会支部の元職員が提訴

東京税理士会神田支部で働いていた40代女性が11月17日、男性上司から性暴力被害を受けてPTSDを発症し、その後解雇されたのは不当だとして、同支部と男性を相手取り、解雇の無効と慰謝料、未払い賃金など計約2270万円の支払いを求めて東京地裁に提訴した。

女性は2019年8月に性暴力被害を受け、翌月にPTSDを発症。10月から休職し、2020年3月中旬には復職可能と診断されたが、支部側は時短勤務を認めず、6月23日に女性を解雇した。

提訴後、会見を開いた代理人の青龍美和子弁護士は「税理士会にセクハラ防止規定がないことが、今回対処が十分なされずに、二次被害を受けた原因となっている」と指摘。同じような事件が起きないよう、会員に対するセクハラ防止規定の整備を求めている。

●役員面談で「また誘ってくる人が出てくる」

訴状によると、女性は2015年8月に東京税理士会神田支部に正職員として採用され、総務部の事務を担当していた。2019年8月、支部の総務部長から食事のあと事務所に無理やり連れ込まれ、服を脱がされ触られるなどの性被害にあったとしている。

女性は直後に研修部長に被害を話し、総務部長からは被害翌日「体調大丈夫?俺が悪戯したから?」などというメッセージが届いたという。

女性はPTSDの診断を受けた約半年後に復職可能と診断されたが、支部側は7〜8人による役員面談を実施。「(女性は)魅力的だから、また誘ってくる人が出てくると思う。その時は、どうするのか」「みんなが優しくないよ」「もっと厳しいことを言われることもある」などと言われたという。

支部側は、女性が支部側に対し求めた慰謝料などの請求を取り下げることで復職させるとし、6月1日から復職を命じた。

女性側は「ハラスメント防止措置などが講じられていない以上、復職はできない」と抗議したが、支部側は6月23日付で「復職命令に従わなかった」などとして女性を解雇した。

女性は代理人を通じて総務部長に対し慰謝料請求などをしたが、事実を否定しているという。

●東京税理士会神田支部「コメントできない」

東京税理士会神田支部は弁護士ドットコムニュースの取材に、「訴状が届いていないため、コメントできない」としている。

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