コンビニ加盟店オーナーに本部との団体交渉権を認めなかった今年3月の中央労働委員会命令。この命令の取り消しを求めて、「コンビニ加盟店ユニオン」が国を相手に東京地裁で裁判を起こしている。10月28日に第1回口頭弁論が開かれた。
今年になって人手不足や経営不振など、コンビニ加盟店の苦境が表面化した。大手3社は、加盟店とのコミュニケーションが不十分だったとして、現場のオーナーたちとの意見交換などをすすめている。
一方で、報道されているようなコンビニの諸問題は、加盟店ユニオンが2009年の結成以来、本部や社会に訴えてきたことでもあった。
執行委員長で自身もコンビニオーナーの酒井孝典さんは法廷で、「コンビニ本部は(オーナーが集まった)『面』としての話し合いは持たず、個別の加盟店としてしか話をしない」と述べ、判断の見直しを求めた。
宮里弁護士(左)と酒井さん(2019年10月28日、司法記者クラブ)
オーナーたちに団体交渉権が認められれば、基本的に本部は団交を拒否できないし、誠実に交渉する義務などが生じる。期日後の記者会見で、宮里邦雄弁護士は次のように話した。
「交渉を通じて、合意の形成を図る。そういうものでないと実効性がない。単なる話し合いということなら、応えるか応えないかは自由ということになる。法的な強制力があるバックグラウンドがないと真剣な話し合いの場が持てないのではないか」
●争点は「労働組合法上の労働者といえるか」
加盟店ユニオンは団体交渉を求めて、セブンイレブンとファミリーマートを相手に労働委員会に救済を求めていた。
セブンについては2014年に岡山県、ファミマは2015年に東京都の労働委員会で団交すべきとの命令が出ていたが、中労委は今年3月、地労委命令を覆し、コンビニオーナーの団交権を否定した。
この日の口頭弁論はセブン事件のもので、ファミマ事件の第1回口頭弁論は11月18日にある。
いずれも争点は、コンビニオーナーが「労働組合法上の労働者」といえるかどうか。労組法の労働者概念は幅が広く、個人事業主であるプロ野球選手でつくる「日本プロ野球選手会」も労働組合として認められている。