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年末年始の帰省で考えたい「親子終活」、弁護士が教える5つのポイント「あのとき聞いておけば」と後悔しないために
mits / PIXTA(ピクスタ)

年末年始の帰省で考えたい「親子終活」、弁護士が教える5つのポイント「あのとき聞いておけば」と後悔しないために

高齢になった親の介護や健康が気になり始める人も多いのではないでしょうか。年末年始の帰省は、普段なかなか話せないことを含めて、親と向き合う絶好の機会です。

親がまだ元気なうちに、家族と一緒に身の回りの整理や話し合いを進めておくことで、突然の事態が起きてもあわてずに対応できます。

こうした「親子終活」を早めに始めることは大きなメリットがあると話すのは、相続問題などにくわしい伊藤勝彦弁護士です。

高齢の親に対して「これだけは確認しておくべき」という"基本のき"を聞きました。「あのとき話題にしておけば…」と後悔しないためにも、今から一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

●親子終活に「5つのメリット」

──「親子終活」に早めに取り組むメリットを教えてください。

親子で終活を早めに始めることには、多くのメリットがあります。

第一に、心の余裕を持って準備できる点です。時間的な余裕があれば、焦らず自分たちのペースで手続きや整理を進めることができ、冷静な判断が可能になります。

高齢の親にとって身の回りの整理は体力的な負担も大きく、時間もかかります。体を使う作業やデジタルデータの整理などを子どもが手伝うことで、親子で負担を分かち合うことができます。

第二に、家族の負担を軽減できることです。

介護や終末期治療、葬儀についての希望をあらかじめ共有しておけば、いざという時に家族が迷わず対応できます。財産の分配についても遺言書を準備しておくことで、相続人同士のトラブルを防ぐことにつながります。

意思を明確にしておくことは、残された家族が悩んだり、もめたりすることを防ぐための重要な手段です。

第三に、経済的な準備を計画的に進められる点です。

病気や認知症などで判断能力が低下すると、財産の管理や処分が難しくなります。施設入居費や医療費、葬儀費用など将来必要となる支出を早めに見積もり、相続税対策を含めて親子で検討しておけば、大切な資産を有効に活用でき、無駄な出費を抑えられます。

●過去を見つめ直し、望む形で人生を締めくくる

──他にもメリットはありますか。

まだまだあります。第四に挙げられるのが「人生の棚卸し」ができる点です。

親にとっては、これまでの人生を振り返り、大切にしてきた価値観や人間関係を見つめ直すことで、残りの人生をより充実させられるための気づきが得られます。

子どもにとっても、終活を通じて親への感謝や理解を深め、心の準備を整える機会となります。

第五に、親自身が自分らしい最期を迎える準備ができることです。

延命治療の希望や葬儀の形式、お墓のあり方などを事前に決めておけば、本人の望む形で人生を締めくくることができます。子どももその意向に沿って支えることができ、安心して見送ることができます。

●意外と悩ましい「声の掛け方」の具体例

──何から始めればよいかわからない人ばかりだと思います。「これだけは確認しておくべきこと」を教えてください。

親子で終活について話し合うのは、少し勇気がいることかもしれません。ただ、帰省のタイミングは自然に話題を切り出しやすい機会でもあります。一度にすべてを決めようとせず、少しずつ確認していくことが大切です。

まず確認しておきたいのが、医療や介護に関する希望です。

延命治療を望むかどうか。介護が必要になった場合に在宅を希望するのか、施設を希望するのか。こうした意思を事前に聞いておくことで、本人の尊厳を守りつつ、家族が迷わず判断できます。

質問する際には「元気なうちに、母さん(父さん)の気持ちを大切にしたいと思っている」と一言添えると、親も安心して答えやすくなります。

次に、葬儀やお墓に関する意向です。

家族葬を望むのか、伝統的な形式を選ぶのか、あるいは樹木葬や散骨など新しい形を希望するのか。遺影に使いたい写真や戒名の希望なども含めて確認しておけば、残された家族の負担を大きく減らせます。

「希望を事前に知っておけると、家族も安心して準備できる」と伝えることで、前向きな会話につながりやすくなります。

●預貯金、証券、不動産、借入…資産や負債を把握

──お金に関してはどうでしょうか。

資産や負債の把握も欠かせません。

預貯金、不動産、証券などの資産の所在を知っておくことは、相続手続きを円滑に進めるうえで不可欠です。借入金や保証人になっている債務の有無を確認しておけば、思わぬトラブルを防ぐことができます。

遺言書やエンディングノートの有無、保管場所もあわせて確認しておくと安心です。「急に必要になった時に家族が困らないよう、場所だけでも知っておきたい」と伝えると、理解を得やすいでしょう。

忘れてはならないのが、緊急連絡先や人間関係の整理です。親族や友人、近隣住民など、いざという時に連絡すべき人の情報を共有しておくことで、緊急時の対応が格段にスムーズになります。

●一度に一気に進めなくてもよい

──確認すべきことがたくさんありますね。

これらの確認事項を一度にすべて終える必要はありません。帰省のたびに、自然な会話の流れで少しずつ進めていくのが理想的です。

終活は決して縁起の悪いものではなく、残りの人生をより良く過ごすための前向きな準備です。

親子で対話を重ねながら取り組むことで、将来への安心が育まれ、親も子も落ち着いて終活に向き合うことができます。

その過程で家族の絆はさらに深まり、人生の最期まで穏やかに支え合える環境を整えることができるでしょう。

専門家としては、早めの準備と丁寧な対話が何より大切だと考えています。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

プロフィール

伊藤 勝彦
伊藤 勝彦(いとう かつひこ)弁護士 弁護士法人みお綜合法律事務所
1973年静岡県生まれ。1997年東京大学法学部卒業、同年司法試験合格。2000年弁護士登録(大阪弁護士会所属)。2003年みお綜合法律事務所のパートナー弁護士(共同経営者)。弁護士活動の初期から「終活」関連分野に注力。遺産分割や遺留分侵害額請求に関する調停・訴訟に多数取り組む。著書に『モメない相続でお金も心もすっきり!親子終活』(あさ出版)など。

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