大学生になったばかりの娘が、31歳のバツイチ子持ち男性と同棲を始めてしまったーー。そんな父親からの相談が弁護士ドットコムに寄せられています。
父親によると、娘がバイト先の居酒屋でナンパされて交際が始まり、独り暮らしの家を引き払って、親に内緒で同棲を始めたそうです。親として「同棲をする位なので不純な交際ではないか」と心配すると同時に、「恋愛に免疫のない子供相手に常識がない」と憤りを隠せない様子でした。
交際開始当時18歳未満だったといいますが、この「31歳バツイチ子持ち男性」の行為に法的な問題はないのでしょうか。池田康太郎弁護士に聞きました。
●結婚を阻止することは可能
「現行の民法では、女性は、『16歳になれば婚姻できる』(民法731条)とされており、18歳未満の未成年者と31歳の男性とが恋愛・交際することも当然に想定されておりますので、真剣交際であれば、違法性はありません(2022年4月からは女性の婚姻年齢が18歳に引き上げられます)。
もっとも、18歳未満の者に『淫行をさせる行為』は禁止され、罰せられます(児童福祉法34条1項6号)。
また、各都道府県には青少年健全育成条例があり、多くの場合、18歳未満との『みだらな性行為』や『わいせつな行為』などを禁じています」
具体的にはどう判断されるのか。
「裁判例から考えることができます。
18歳未満の未成年者との性行為等について判例は、未成年者を『誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似行為』と、限定して解釈しています。
あくまでケースバイケースですので、確定的なことは言えませんが、未成年と成人男性が、結婚を前提に付き合っているなど『真摯な交際』をしているのであれば、性行為をしても問題ないと判断される可能性はあります。
ただし、未成年者が結婚するためには少なくとも親権者の一方の同意が必要ですので、同意を拒み、未成年の間は娘さんの結婚を阻止すること自体は可能です」