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全部見られてた…不倫相手の妻、夫撮影の「盗撮ビデオ」持ち出して慰謝料の根拠に
画像はイメージです(AH86 / PIXTA)

全部見られてた…不倫相手の妻、夫撮影の「盗撮ビデオ」持ち出して慰謝料の根拠に

不倫相手の妻が「不貞の証拠」として持ち出したのは、なんと不倫相手が盗撮していた自分との不貞行為だったーー。こんな衝撃の相談が、弁護士ドットコムの法律Q&Aに寄せられました。

相談者は1年前の夏、既婚者で子どももいる男友達と不貞行為を2回してしまいました。その後距離を置いていましたが、今年の1月に不倫相手の妻に不貞の事実がバレてしまいます。

そのときは相談者が謝罪し、離婚も慰謝料請求もしないと合意したものの、数カ月後に事態は一変。不倫相手の妻は「離婚する事になった。それはあなたのせい」と慰謝料を請求。不倫相手が盗撮した動画を不貞行為の証拠としています。

相談者は「すごく嫌な気持ち」と盗撮されたことを理由に、慰謝料を減額させられないかと考えています。こうした理由で、慰謝料の減額は可能なのでしょうか。山岸陽平弁護士に聞きました。

●離婚に至る場合の慰謝料、150~300万円が相場

ーー今回のケースの場合、慰謝料の相場はどの程度の額になりますか

慰謝料の金額は、離婚する場合と、しない場合とで異なります。離婚に至る場合の慰謝料の相場としては、150〜300万円といったところでしょう。慰謝料は行為の悪質性、被害感情、家庭の状況、支払能力などに左右されます。

ーー相談者は一度不倫相手の妻と慰謝料請求しないということで合意しているようですが…

一旦、離婚も慰謝料請求もしないということで話が終わったということですが、口頭でそのように述べたとしても、確定的な言い方ではないなどの理由から、債務を免除したとまでは認められないケースも多いでしょう。

●妻の慰謝料全体を減額するのは簡単ではない

ーー盗撮されたことに対する不快感を理由に、慰謝料を減額することはできますか

妻の立場からすると、不貞行為が盗撮されていたことは妻の被害感情を弱めるものにはなりません。そのため、妻が請求できる慰謝料の全体額を減額する材料とは言い難いと思われます。

しかし、不貞をした者同士の慰謝料の負担割合を考えるときには、相談者が無断で盗撮されていたことや、誘いに対して強く断り距離を置いたことなどが有利に働く可能性は大きいでしょう。

また、性的行為を了承なく撮影すること自体が不法行為にあたるという観点から、相談者から不貞相手(夫)に対して損害賠償を求めることにより、実質的な減額を果たすという考え方もあります。

いずれにしても、妻の慰謝料全体を減額するのは容易ではなく、責任の割合の問題であろうと考えられます。

ーーどのような場合であれば、慰謝料減額が認められやすいのでしょうか

今回の経緯では、不貞行為の事実だけでは離婚を決意しなかったのに、盗撮が発覚したことにより、妻が離婚を言い始めたようにも見えます。

実際に妻がどのような理由で離婚を言い始めたのかにもよりますが、盗撮内容を目にしたために妻の嫌悪感が大幅に増したというのであれば、主に責任を負うべきは無断で撮影を行った不貞相手(夫)であると言いやすくなるでしょう。

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

山岸 陽平
山岸 陽平(やまぎし ようへい)弁護士 金沢法律事務所
金沢弁護士会所属。2020年度金沢弁護士会副会長。富山県出身。京都大学法学部卒・京都大学法科大学院修了。地元石川県を中心として、相続、離婚、中小企業法務、インターネット関係のトラブルなど、身近な法律問題に粘り強く取り組んでいる。

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