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「離婚するなら、金返せ」息子に貸した「1200万円」嫁にも返済を要求できるか
画像はイメージです(Ushico / PIXTA)

「離婚するなら、金返せ」息子に貸した「1200万円」嫁にも返済を要求できるか

1200万円ほどお金を貸している息子夫婦が、離婚することに。貸したお金は息子の妻からも返してもらえるのかーー。弁護士ドットコムの法律相談コーナーにこんな投稿が寄せられました。

相談者は、生活費や孫の学費という名目で息子夫婦に1200万円を貸しています。そんな中、息子夫婦が離婚するという話を耳にしました。

借用書の署名は、夫婦連帯でなく息子の名前だけ。相談者は「離婚した場合は息子の奥さんと分け合って返してもらえるのでしょうか?」と息子だけの負担にならないか気にしているようです。

家族の生活のために借りたお金。離婚した場合でも、法的には夫婦二人で返済していくことになるのでしょうか。小坂誉弁護士に聞きました。

●夫婦の共同生活に通常必要とされる借金かどうかがポイント

借用書の署名は息子の名前だけ書かれているそうです。

「借用書に息子の名前しか署名されていないのであれば、金銭消費貸借契約上の返済義務は息子だけが負担します。

しかし、金銭消費貸借契約が息子夫婦の『日常の家事』に関してなされたと評価できる場合、息子の妻も連帯債務を負担します(民法761条)。この場合、相談者は息子の妻にも返金を求めることができます」

どのような場合に「日常の家事」に関するものといえるのでしょうか。

「貸した金銭が日常家事債務といえるかは、貸した金額、返済方法、借入れの目的、実際の使途等から見て夫婦の共同生活に通常必要とされる借金といえるかで判断されます。なお、通常必要とされる借金かどうかは、各夫婦の職業、収入、資産等を前提としてケースバイケースで判断されます」

●生活費や学費目的の1200万円の借金は高額すぎる?

今回のケースはどう考えられますか。

「借入目的は生活費や学費ということなので、日常家事債務になじみやすいものです。しかし、過去の裁判例を見ると、借入れの目的よりも貸付金額が多いか少ないかを重視し、100万円~200万円は多過ぎるとして日常家事債務に該当しないと判断しているものがあります。

裁判例を考慮すると、一般的な夫婦では1200万円の借金を日常家事債務と評価することは難しいでしょう。したがって、相談者が息子の妻に返金を求めることはできないと考えられます。

なお、離婚時には夫婦の共有財産を清算する財産分与額を決定します。息子が負担している借金を考慮することはありますが、この場合でも、借金の返済自体を妻に負担させることはできません」

(弁護士ドットコムニュース)

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

プロフィール

小坂 誉
小坂 誉(こさか ほまれ)弁護士 弁護士法人栃のふたば法律事務所
大手渉外事務所である西村あさひ法律事務所においてパラリーガル、アソシエイト弁護士として勤務した経歴を持つ。依頼者のニーズを把握して、徹底したリーガル・リサーチに基づく解決策の提供を心がけている。離婚事件を多く手がけている。

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