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一審で親権認められた「子どもと6年別居」の夫が逆転敗訴、親権は妻に…東京高裁
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一審で親権認められた「子どもと6年別居」の夫が逆転敗訴、親権は妻に…東京高裁

夫婦の離婚をめぐり、子の親権が争われていた裁判で、東京高裁(菊池洋一裁判長)は1月26日、妻を親権者と判断した。一審の千葉家裁松戸支部は昨年3月、長女(当時8歳)と6年近くも会っていない夫に親権を認め、妻側が控訴していた。親権をめぐる裁判のあり方を変える可能性があるとして注目を集めていたが、二審では判断が覆った。夫側は上告の意向を示している。

長女(9)の親権を争っていたのは、40代の夫妻。一審判決によると、2人は価値観の違いなどから、長女の誕生後、険悪な関係に。妻は2010年5月、当時2歳の長女を連れて実家へ戻った。その後、夫と長女との間では、何度か面会や電話でのやり取りはあったが、2011年春頃から途絶していた。

一審は離婚を認めたが、親権については従来と異なる判断枠組みを採用した。親権争いでは「継続性」を重視し、同居中の親に親権を認めることが通例だが、一審は夫が母子の面会交流を年間100日認めるなど、母親に対し「寛容性」の高い条件を提示したことなどを評価し、夫に親権を認めていた。

しかし、東京高裁の判決で、菊池裁判長は、これまでの長女の監護者が妻であったことや、妻と夫で監護能力に差がないこと、子どもが母親と一緒に暮らしたいとの意思を示していることなどを踏まえ、「現在の監護養育環境を変更しなければならないような必要性があるとの事情が見当たらない」として、長女の親権者を妻とするのが相当と判断した。

一審では夫側が提案していた年間100日の面会交流を評価していたが、二審では、長女の身体への負担や友人との交流などに支障が生じるおそれがあるとして、「必ずしも長女の健全な生育にとって利益になるとは限らない」とした。

また、妻が別居の際に、長女を無断で連れて行ったことについて、判決では、「夫の意に反することは明らかだったが、長女の利益の観点からみて、妻が親権者にふさわしくないとは認めがたい」とした。

妻は、代理人を通して、「子どもにとってどちらが親権者にふさわしいか的確に判断していただいた。夫婦間の争いは過去のこととして、新しい人生をあゆみたい」とコメントした。

(弁護士ドットコムニュース)

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