「夫が不倫相手とのやりとりに、PayPayを利用していた」
最近、SNSではサレ妻からのそんな報告が相次いでいます。
PayPayはキャッシュレス決済アプリ。店舗での支払いやユーザー間の送金などが可能で、2024年6月時点でユーザー登録数は6400万人を超えています。
ところが、PayPayのチャット機能を不倫相手との連絡に利用するケースがあるといいます。なぜPayPayなのでしょうか。夫に不倫された妻や、恋人に浮気された女性の投稿によると、LINEやSNSなどのメッセージはバレやすいため、あえてPayPayを使うとのことです。
SNSでは、サレ妻の女性たちが、「PayPayの『送る』のところから、これまで相手とやりとりしたメッセージが見られるので、チェックするように」とアドバイスしています。
PayPay株式会社の広報担当者は、弁護士ドットコムニュースの取材に対し、「そうした使い方は想定外でした」とした上で、次のように回答しました。
「PayPayチャット機能特約第4条に定めた禁止事項(猥褻な情報、公序良俗に反する内容など)に該当する行為が行われていることが発覚した場合には、アカウントの削除等を含めた措置を検討させていただくことになります。不適切な利用はお控えいただきますよう、お願いいたします」
現時点でPayPayチャット機能による不倫メッセージが直ちに禁止事項にあたるかはわかりませんが、最悪の場合アカウント削除もありえるかもしれません。
妻の目をかいくぐるハッカーのような不倫カップル。こうしたPayPay不倫の法的問題について山口政貴弁護士に聞きました。
●PayPayのチャット画面は「不倫の証拠になる」
夫や妻がPayPayのチャット機能を利用していた場合、不貞行為の「証拠」になるのでしょうか。
山口政貴弁護士は「PayPayのチャット画面でももちろん証拠になります」と指摘します。
「ただし、法律上の“不貞行為”というのは肉体関係を指しますので、単に2人で親しげにチャットでやり取りしているというものだけでは不貞行為の証明にはなりません。そのやりとりの中に、肉体関係の存在を前提としたやり取りがあれば不貞行為の証明になるでしょう」(同)
その他、2人で自宅やホテルに入るところの写真などがあればかなり強力な証拠となるといいます。
不貞行為が認められた場合、慰謝料は「不貞行為の期間や夫婦間の婚姻年数等によって額は上下しますが、おおよそ100万円前後となることが多い」(同)そうです。
ただし、「配偶者と不倫相手それぞれに100万円ずつ請求できるのではなく、配偶者と不倫相手2人併せて100万円ということになる点にご注意ください。配偶者か不倫相手かどちらか1人が100万円支払えばそれで2人の慰謝料支払い義務はなくなります」(同)。
気をつけたいのが、証拠をおさえるために相手のスマホをみる行為に違法性がないか、という点です。山口弁護士は次のように注意を促します。
「配偶者の携帯を勝手に見るだけでは犯罪にはなりません。ロックがかかっていてそれを解除したとしても犯罪にはなりません。しかし、IDとパスワードを入力するような行為は、不正アクセス防止法など違法行為にあたる恐れがあります。不貞行為の証拠を収集するためとはいえ、違法行為まですることはお勧めできません。気をつけましょう」