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2021年06月08日 09時57分

「家庭内痴漢」されても、子のため離婚を我慢する女性…「モラハラ夫」の起源を考える

「家庭内痴漢」されても、子のため離婚を我慢する女性…「モラハラ夫」の起源を考える
大貫憲介弁護士による新コラム「モラ夫バスター弁護日誌」が始まります

弁護士歴33年の大ベテラン、大貫憲介弁護士による新コラム「モラ夫バスター弁護日誌」が始まります。

国内外問わず、年間平均100件の離婚事件を担当してきた大貫弁護士。「モラハラ夫」が多数存在していることに気づき、その文化を変えようと日々奮闘しています。

大貫弁護士が目の当たりにした離婚事件を元に、モラハラ夫とは何か、その呪縛から逃れるためにはどうすればいいのか、連載で読み解いていきます。

●「子どものため」離婚を我慢する女性たち

「…ほんとにつらかったです」、離婚の相談のため、私(筆者)の事務所に来た30代後半の女性Aさんは、大粒の涙をポロポロとこぼした。

さて、私は弁護士となって今年で33年目である。今まで、多数の離婚事件を扱ってきた。法律相談を含めれば、年間平均100件は超えるだろう。33年で3300件を超える計算になる。離婚の相談に私の事務所を訪れる女性たちは、みな傷ついていた。

Aさんに限らず、離婚を決意した理由をお聞きし「おつらかったですね」と声をかけると、妻たちはほぼ例外なく涙を流す。妻にとって結婚生活は苦痛に満ちており、「子どものため」「経済的不安のため」、じっと耐え我慢しているのである。

他方、夫たちはどうか。妻が家を出て、受任弁護士が電話をかけると、夫たちは「(妻が)家を出る前日まで、夫婦仲は良かった」「話し合いもせず、いきなり出て行った」「お前(弁護士)じゃ話しにならない、直接(妻と)話をさせろ」などと、自らのおかれた状況を全く理解していない。

そして、離婚が成立すると、女性たちの多くは、つらかった結婚生活から解放され、見違えるように明るくなり、元気になる。他方、夫の多くは、別居・離婚により妻を失い、大きな喪失感に打ちのめされる。

●自分の妻にセクハラする夫

Aさんの話に戻ろう。離婚理由を尋ねたところ、Aさんは「夫のセクハラです」と答えた。

夫は、突然、胸を鷲掴みにしたり、後ろから抱きしめたり、プライベートゾーンに手を入れてきたりするという。そして「止めて」と言っても止めない。

誤解を恐れずに言おう。妻の意思に反して性的接触を強いるのは、もはや「家庭内痴漢」というべき行為である。

ところが、「妻に対するセクハラ」「家庭内痴漢」の概念は、多くの男性にとって、受け入れがたいのではないか。「妻を触ってどこが悪い」「夫婦だから当然」と考えるのではないか。さらに、妻に対する「不同意性交」の概念に至っては、その概念の存在すら許せないのではないか。

結論から言おう。このように考える男性はモラ夫(妻に対してモラルハラスメントをする夫)である。

モラ夫は、妻の意向にかかわらず、「妻の身体を自由に触ってよい」「夫婦である以上触るのもセックスも当然のこと」と考える。妻がセックスを拒否すると「セックスは妻の義務である」として枕もとで説教するモラ夫も少なくない。

他方、妻たちは、その意思に反して触られること、義務としてセックスに応じることを心の底では嫌がっている。枕元で説教する夫については、「なんて面倒」と思う妻は少なくない。

つまり、夫と妻との間に、根本的な価値観の相違があり、夫婦がすれ違っているのである。

さて、Aさんの就学前の子は、面前でパパがママの胸を触り、ママがそれを嫌がる光景をみて「パパ止めて!」と止めに入った。パパは「うるさい」と子を手で押しのけた。この日、Aさんは離婚を決意し、数日後、私の事務所に相談に来たのである。

●モラ夫の始まりはいつから?

Aさんの夫だけがモラ夫なのではない。残念ながら、日本にはモラ夫がたくさんいる。そして、これらのモラ夫たちの言動は、驚くほど似ている。この現代日本のモラ夫は、どこから生じているのか。

私の説では、現代日本のモラ夫は、300年前、江戸中期に端を発する。1710年、儒学者・貝原益軒は、「和俗童子訓」を著し、その第5章「教女子法」にて、要旨、夫を主君として敬い慎みて仕えよ、などとする13条の人生訓を説いた。親が結婚する娘に教えるべきだという。

これらの人生訓は、「女大学」(おんなだいがく)などとして江戸の世に広まった。その後、明治政府は、これらを女子教育や明治民法におけるイエ制度に取り込み、社会的、文化的規範群として、現代に引き継がれているのである。

さて、この「モラ夫バスター弁護日誌」では、実際の離婚事案などを紐解きながら、「モラ夫とは何か」「結婚とは何か」を考えていきたい。そして、結婚生活に悩みを抱えている方や、離婚を考えている方の一助になれば幸いである。

取材協力弁護士

大貫 憲介弁護士
1989年4月弁護士登録。外国人事案、結婚離婚等家事事案を中心に弁護士業務を行ってきた。2018年3月から、ツイッター(@SatsukiLaw)にて、「モラ夫バスター」として、モラ夫の生態について、日々ツイートし、4コマ漫画「モラ夫バスター」などで主に被害妻に向けた情報発信を行っている。ハーバービジネスオンラインでは、「モラ夫バスターな日々」の連載をしてきた。

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