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「ダブル不倫」がお互いの家族にバレて泥沼化! 慰謝料請求がややこしいことに…
写真はイメージです(JADE / PIXTA)

「ダブル不倫」がお互いの家族にバレて泥沼化! 慰謝料請求がややこしいことに…

「夫が既婚女性とダブル不倫をしていました。相手に慰謝料を支払ってもらうことはできるのでしょうか」。弁護士ドットコムにこのような相談が寄せられています。

相談者は夫と離婚するつもりはなく、夫に「2度と相手に会わない」という誓約書を書かせて様子を見ていました。しかし、相手の女性にはきっちり慰謝料を支払ってもらいたいと考えていました。

ところが同じころ、相手の女性も彼女の夫に不倫がバレていました。不倫相手の夫から相談者の夫に「直接話したい」という電話があったようです。不倫相手の夫も、相談者の夫に対して慰謝料を請求したいと考えています。

このような「ダブル不倫」の場合、慰謝料はどうなるのでしょうか。澤藤亮介弁護士の解説をお届けします。

●ダブル不倫の場合、被害者は2人いる

ーーこのようなダブル不倫の場合でも、相談者は慰謝料を払ってもらえるのでしょうか。

ダブル不倫の最大の特徴は、通常の不倫と異なり、不倫をされた被害者が2人いることです。そのため、慰謝料請求権を行使できる人物も2人いるということになります。

普通の不倫よりも話がややこしくなるので、相談者(A子)、相談者の夫(B男)、夫の不倫相手(C子)、不倫相手の夫(D男)と、4者の関係を整理して説明します。

ダブル不倫では、実際には被害者が2人とも慰謝料請求をおこなうとも限りません。相手方の被害者(配偶者)が慰謝料請求をしてくる可能性があるかどうかの見極めが重要となります。

なぜなら「既に不倫の事実を知っているかどうか」、知らない場合は「知られないまま相手方妻から慰謝料を取ることができるか」がポイントになるためです。

今回のケースでは、相手の夫(D男)にも不倫の事実はバレているようですから、この先の対応が重要になってきます。

●事実上の「相打ち」になることも

ーー今回のケースの場合、相談者(A子)と不倫相手の夫(D男)はいずれも慰謝料を請求したいと考えています。このような場合はどうなるのでしょうか。

法的には、夫婦をまとめて1つの権利主体と考えるのではなく、あくまで個人単位で考えます。

ダブル不倫の場合でも当然、妻は相手方女性に対し、慰謝料請求をすることは可能です。また、不倫した自分の夫は、妻からみれば「共同不法行為者」であるので、自分の夫に対しても同じく慰謝料を請求することが可能です。

今回のケースでいえば、A子さんは夫の不倫相手(C子さん)だけでなく、夫本人(B男さん)にも慰謝料を請求することができることになります。

A子さんは夫婦の関係を修復したいと考えているようですから、B男さんに対してではなく、C子さんだけを相手に、慰謝料を請求することになるでしょう。

ただ、浮気相手の夫であるD男さんも、B男さんに対して慰謝料を請求することができます。

画像タイトル ダブル不倫における慰謝料請求のイメージ

この場合、2つの慰謝料請求権が行使されている状態です。形式的にみれば、C子さんがA子さんに慰謝料を支払い、B男さんがD男さんに慰謝料を支払うことになります。

一方で、夫婦が協力して今回のトラブルを乗り切ろうと考えるような場合には、事実上の「相打ち」として、金銭のやりとりなく終わることもあります(いわゆる「ゼロ和解」)。夫婦の単位でみれば、出て行くお金と入ってくるお金はプラスマイナスゼロと考えるわけです。

他方、A子さんが「離婚はしないけど、夫(妻)が慰謝料を請求されるのは自業自得」と考えて協力しない場合は、B男さんには自身の慰謝料の支払いも含め、別個に対処させる形となります。

この場合、A子さんは夫のB男さんの事件に気兼ねすることなく、C子さんから慰謝料をより多く取れるよう、請求をおこなっていくことになります。

(弁護士ドットコムライフ)

プロフィール

澤藤 亮介
澤藤 亮介(さわふじ りょうすけ)弁護士 向陽法律事務所
東京弁護士会所属。2003年弁護士登録。2010年に新宿(東京)キーウェスト法律事務所を設立後、離婚、男女問題、相続などを中心に取り扱い、2024年2月から現在の法律事務所でパートナー弁護士として勤務。自身がApple製品全般を好きなこともあり、ITをフル活用し業務の効率化を図っている。日経BP社『iPadで行こう!』などにも寄稿。

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