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Zeebraさん不倫で妻・中林美和さんを心配する声 離婚したら財産分与はどうなる?
Zeebraさん(2016年、弁護士ドットコム撮影)

Zeebraさん不倫で妻・中林美和さんを心配する声 離婚したら財産分与はどうなる?

ラッパーのZeebraさんが妻ではない女性と不倫旅行をしていたと『週刊FLASH』(2020年9月8日号)が掲載した。Zeebraさんの妻はモデルの中林美和さんで、Zeebraさんは、すでに独立した長男を含め、4人の父でもある。

報道を受け、Zeebraさんは自身のTwitterで「この度は自分の軽率な行動により、関係者の方々やファンの皆さまにご迷惑、ご心配をお掛けしてしまった事、心からお詫び申し上げます。そして何より、自分の不甲斐ない行いにより大切な家族を傷つけてしまった事を、深く反省しております」と事実を認めた。

妻の中林さんは2015年に出版した著書『おんぶにだっこでフライパン! 4人育児の奮闘記』(角川書店)で、過去に一時的な別居をしたことを明かしているほか、2016年11月にはTwitterで「外面だけが良すぎて吐き気がする。」「大事な仕事の会食に子供のことお願いしてもイライラされる。ママは毎日子供のお世話しているのにね。ディスリスペクトだ」などと、夫への不満を爆発させたこともあった。

最終的にはこの件では夫婦は仲直りをしたようだが、中林さんのツイートは子育て中の女性を中心に多くの共感を集めていた。

配偶者の不貞や喧嘩を乗り越える夫婦は多いとはいえ、これまでの夫の振る舞いを思えば、今回のコロナ禍における夫の自由すぎる不倫旅行で、中林さんの堪忍袋の緒が切れてもおかしくはなさそうだ。モデルだけでなく、実業家としても活躍している中林さんにとって、経済的な不安も少ないだろう。

しかしZeebraさんは人気アーティストでもある。仮に2人が離婚した場合、財産分与をめぐって争いになることも予想される。一般的に財産分与において印税はどのように評価されるのだろうか。濵門俊也弁護士に聞いた。

●「2分の1ルール」の適用がないケースも考えられる

ーー婚姻期間中に受け取った印税収入は財産分与の対象となるのでしょうか。

結論から申し上げますと、婚姻期間中に受け取った印税収入は財産分与の対象となり得ます。

「印税収入」と言われますが、そのような法律用語があるわけではなく、いわゆる通称です。著作物を複製して販売等する者(出版社、レコード会社、放送局など)が、発行部数や販売部数に応じて著作権者に支払う著作権使用料のことをさす通称です。

財産分与の対象と「なる」「ならない」の判断は、(1)原資が誰の財産であるか、(2)財産の形成に双方が寄与しているか、がポイントとなります。

まず、婚姻前に作った楽曲から得られた印税については、特有財産(夫婦の協力によって得た財産でない)と証明することは比較的容易でしょう。

ただ、婚姻後に作った楽曲から得られた印税については、著作物に関する権利を著作者が専有しているとしても、特有財産であることを証明することは微妙かもしれません。証明できなければ、印税収入は夫婦の共有財産と推定されます。

しかし、印税収入は、楽曲を作った人の才覚に由来するものです。そのため、財産形成の寄与度が大きいと判断される可能性もあります。すなわち、印税収入については、財産分与におけるいわゆる「2分の1ルール」の適用がない場合があり得るということです。

●「財産分与」の対象とならないことも

ーー場合によっては、対象とならないこともあり得るのでしょうか。

一般論としては、婚姻中に作った楽曲の著作権についても、財産分与の対象となり得ます。ただ、婚姻後もそれぞれが各自の収入等を管理していたような事情がある場合には、財産分与の対象とならない場合もあり得ます。

参考として、審判例(東京家審平 6・5・31家月47巻5号52頁)を紹介しておきます。婚姻前から作家、画家として活動していた夫婦の清算的財産分与の対象となる財産が何かについて争われたものです。

裁判所は、預貯金、本件土地建物以外にも、「双方の個人名義の著作権が考えられる」としました。しかし、この夫婦は婚姻後もそれぞれが各自の収入、預貯金を管理し、必要な時に夫婦の生活費用をそれぞれが支出する、いわゆる「夫婦別財布」の家計となっていました。

そのため、それぞれの名義の預貯金、著作物の著作権について、「それぞれの名義人に帰属する旨の合意があったと解するのが相当」だとして、各個人名義の預貯金、著作権は清算的財産分与の対象とならないとしました。

このように、今回のZeebraさん夫妻の場合も、単純な「夫婦で折半」とならない可能性もありますし、どのような家計管理だったのかによっても結論は異なってきます。

プロフィール

濵門 俊也
濵門 俊也(はまかど としや)弁護士 東京新生法律事務所
当職は、当たり前のことを当たり前のように処理できる基本に忠実な力、すなわち「基本力(きほんちから)」こそ、法曹に求められる最も重要な力だと考えております。依頼者の「義」にお応えします。

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