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隠された妻の過去、実は「奔放」だった がく然とする夫「結婚の判断材料だったのに」
画像はイメージです(yamasan / PIXTA)

隠された妻の過去、実は「奔放」だった がく然とする夫「結婚の判断材料だったのに」

結婚するにあたり、相手の過去の恋愛遍歴は気にしますか。人には色々な過去があるものですが、どうしても話してほしいという人もいるようです。

弁護士ドットコムには、「妻が過去の恋愛遍歴を偽っていた」という男性からの相談がありました。

知人などの話から、妻の恋愛遍歴は聞いていた話と全く違うことが結婚後に判明。人数だけでなく、関係を持った人間関係も多種多様でした。過去の恋愛遍歴は男性の結婚の判断材料の1つでもあっただけに、男性は「少しでも思いを吐き出すことができれば」と思いを寄せていました。

こうした場合、男性は女性と離婚できるのでしょうか。また、偽っていたこと自体、法的な問題にならないのでしょうか。瀧井喜博弁護士に聞きました。

●「過去の恋愛遍歴を秘匿」だけでは離婚できない

ーー過去の恋愛遍歴について嘘をつかれていた場合、離婚できるのでしょうか

確かに配偶者の恋愛遍歴は気になるところです。妻の過去が信じていたものとまったく違った場合、そのまま夫婦として続けていけないと考える方も当然いらっしゃると思います。

しかし基本的に、過去の恋愛遍歴を秘匿していた一事情をもって、夫婦関係破綻の原因があると判断されることはありません。

離婚訴訟において離婚が認められるのは、民法770条1項記載の破綻事由がある場合に限られます。

具体的には、以下の5つの場合です。

(1)配偶者に不貞な行為があったとき
(2)配偶者から悪意で遺棄されたとき
(3)配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
(4)配偶者の強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
(5)その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

妻の奔放な恋愛遍歴を秘匿されていたことが、(5)婚姻継続しがたい重大な事由、に該当するようにもみえます。

しかし、一般的に夫婦関係は婚姻後二人で築いていくことから、夫婦関係が破綻しているか否かの判断において、婚姻後の事情を基礎とします。

そのため、過去の恋愛遍歴が奔放であり、それを偽っていたとしても、その事実だけでは破綻原因となりにくいと考えられます。

ーーどのようなケースであっても、奔放な恋愛遍歴を偽っていた事実は離婚原因にならないのでしょうか

釣書を提示しその内容を重視したうえで婚姻する「お見合い」や、婚姻前に双方が過去に異性との交際は一切ないことを確認し、婚前契約書等を作成したうえで婚姻した場合には、少し話が変わってくるかと思います。

今回のケースでも、妻に奔放な恋愛遍歴がないことが婚姻契約を締結する際の重要な判断要素としたことが伺える客観的証拠(婚前契約書など)があれば、婚姻を継続しがたい事由に該当すると認められる可能性もでてきます。

●慰謝料請求は認められない可能性が高い

ーー離婚を求めないとしても、偽った事実について妻に対し慰謝料を請求したいと考える人もいるかもしれません。可能でしょうか

配偶者に過去の恋愛遍歴は隠しておきたい人も少なくないでしょう。婚姻前に、過去に奔放な恋愛遍歴がないことを書面で確認した、というレアなケースを除いて、慰謝料請求は認められない可能性が高いかと思います。

このように、婚姻前の恋愛遍歴を偽っていた事実そのものを理由に、慰謝料請求を行い、離婚原因と主張することは相当難しいのが実情です。

とはいえ、妻の本当の姿が信じていたものと大きく異なっていたのでは、現実的には夫婦生活を継続させることも難しいでしょう。すでに性格の不一致が生じていることも考えられます。

どうしても夫婦関係の修復が困難とお考えの場合は、恋愛遍歴を偽っていた事実のみならず、性格の不一致等、いくつかの理由を挙げて離婚を求められてはいかがでしょうか。

プロフィール

瀧井 喜博
瀧井 喜博(たきい よしひろ)弁護士 弁護士法人A&P 瀧井総合法律事務所
「あなたの『困った』を『よかった』へ」がモットー。あらゆる「困った」の相談窓口を目指す、主に大阪で活動する人情派弁護士。自由と自律性を押し出す新しい働き方、楽しく成長し続けることができる職場環境として、「ブラック」でも「ホワイト」でもない「カラフル」な職場の構築、拡大を目指して、日夜奮闘中。

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