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交際中に「二股不倫」した元カノに激怒、別れた腹いせにSNSでバラす…名誉毀損になる?
写真はイメージです(zon / PIXTA)

交際中に「二股不倫」した元カノに激怒、別れた腹いせにSNSでバラす…名誉毀損になる?

不倫や浮気をされた側の悲しみ、やるせなさは大きい。中には、思わず感情的になってしまい、配偶者や恋人が浮気をした事実をSNSに投稿してしまう人もいる。

弁護士ドットコムにも「元カレに私が不倫していたことをSNSに書き込まれました」という女性が相談を寄せている。

相談者は元カレと交際中、同時進行で妻子持ちの男性と不倫していた。元カレと別れた原因は不倫の事実がバレてしまったためだ。

別れた後、元カレは相談者が不倫をしていたこと、不倫相手の妻から慰謝料請求をされていることをSNSに書き込んだ。書き込みは全体に公開されており、相談者の不倫が多くの友人に知られてしまうことになった。

「元はといえば私が悪いのですが、なんとかやめさせる方法はありませんか?」と相談者は聞いている。福田慎也弁護士に聞いた。

●「名誉毀損」「プライバシーの侵害」にあたる可能性が高い

ーー元カレの行為は「名誉毀損」や「プライバシーの侵害」にあたるのだろうか。

「具体的な記載内容や周知の程度にもよりますが、名誉毀損およびプライバシーの侵害のいずれにも該当する可能性が高いといえます。

なお、厳密に説明すれば、『名誉毀損』については、(1)民事上の不法行為(民法709条)にあたるものとして損害賠償(慰謝料)を求めるという解決ルートと、(2)刑法上の名誉毀損罪(刑法203条)に該当するとして刑事制裁を与える解決ルートが存在します。

今回のケースではSNSの記載の内容や頻度、期間、立証の可否等の具体的な事情が問題になるものの、『不法行為』と『名誉毀損罪』のいずれも成立する可能性があります」

ーー元カレに民事賠償を求めた場合、どの程度の損害額が認められるのだろうか。

「SNSによって発信された記載内容や閲覧者数、損害を裏づける事情にもよります。ひとつの目安として、不倫をインターネット上で掲載して名誉毀損したとする事例における裁判例(東京地方裁判所・平成30年10月30日判決)があります。この裁判例では10万円の慰謝料が認容されています。

ただし、そもそも記載から本人が特定できない等の理由で裁判では棄却される事案も少なくないため、個別に専門家に相談されることをお勧めします」

●元カレに書き込みを削除してもらうには?

ーー相談者は、元カレにこのような書き込みをやめてほしいと切望している。投稿した書き込みを削除してもらうには、どうすればよいのだろうか。

「まずは加害者に直接連絡して、記事の掲載を削除することを求めることになります。相談者からの要請に対して加害者が応じない場合や、そもそも連絡を取りたくない場合でも、弁護士から警告文を送付すれば速やかに掲載を中止するケースが多いです。

仮に記載者が削除に従わない場合には、投稿記事について削除の仮処分命令を裁判所に求める民事保全手続もあります。しかし、時間も費用もかかるため、まずは交渉で任意に記載内容の削除を求めて、相手方がこれに応じるように説得すべきでしょう。

さらに、今後は不倫行為に関する事情をSNS等で口外しないことを誓約させたうえで、これについて違約金も定めた示談書を作成することも考えられます」

プロフィール

福田 慎也
福田 慎也(ふくだ しんや)弁護士 ブラスト法律事務所
東京都台東区御徒町において男女・離婚分野に注力して、浮気・離婚協議・子連れ別居・DV対応など、事件内容の難易度を問わず、広く同分野の問題解決に取り組んでいる。

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