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婚活アプリで「37才女性」が出会った悪い奴…結婚願望をもて遊ぶ既婚者、弁護士相談も増加中
画像はイメージです(Ushico / PIXTA)

婚活アプリで「37才女性」が出会った悪い奴…結婚願望をもて遊ぶ既婚者、弁護士相談も増加中

婚活アプリで出会った男性が「既婚者」だったーー。弁護士ドットコムにこのような相談が寄せられました。実はこのような相談は最近、弁護士のもとにも寄せられるようになっており、増加傾向にあることが危惧されています。

この相談者は、相手が既婚者とは知らずに、1年近く交際を続けてきました。彼は毎週相談者の家に泊まり、2人で旅行に行ったこともあるようです。相談者の家族に挨拶に来たことも数回あり、彼は「自分の実家にも(相談者を)連れて行く」と話していました。

「彼の部下も紹介されたことがあります。しかし、彼は部下に『独身だと言って』と頼んでいたようで、グルだったんです。家も会社の寮で入れないと一緒になって嘘をついていました」と相談者は憤慨しています。

相談者は彼への慰謝料請求を考えていますが、相手は70万円なら支払うと言っているそうです。女性はどう対応すればいいのか。瀧井喜博弁護士に聞きました。

●婚活アプリに潜む既婚者

ーー慰謝料70万円は相当といえるのでしょうか。もし、今回のケースのような場合における相場があれば、ご教示いただけますと幸いです。

「婚活アプリで知り合い、交際に至った相手方が既婚者であった、そのようなご相談はよくあります。この場合、相手方との婚姻を信じて交際を続けた女性の『貞操』や『性的自由』等の人格権を侵害したことを理由に慰謝料を請求することが考えられます。

このような場合、請求するにあたって、まず『既婚者であることを知らなかった』ということがポイントとなります。

今回の相談者は、婚活アプリで知り合っています。婚活アプリは規約にも『未婚者のみ』と記載しているアプリも多く、未婚者のみが登録可能であると考えられます。相談者は、既婚でないことを前提として知り合い交際していたと考えられ、慰謝料請求の可能性が高まります」

ーー 今回、男性側が提示した「70万円」という金額は相当といえるのでしょうか?

「一般的に、相手方が既婚であることを秘匿して交際していた場合、婚約まで成立していたケースに比べて慰謝料は少なくなる傾向にあります。数カ月といった短期間の交際であれば30万円程度の慰謝料となることが多いですが、悪質なケースでは200万円以上の請求が認められた裁判例もあります。

今回は、交際期間も1年と長く、毎週末一緒に過ごし、相談者の家族にも挨拶に行き、同僚も一緒になって未婚であると嘘をついていました。しかし、同棲の事実や妊娠・中絶等はなく、高額な慰謝料は認めづらいケースと思われます。

とはいえ、親密な交際をしていたとは言えますから、70万円という慰謝料はやや少ないかと思います」

●「37歳」という年齢は慰謝料の金額に影響する?

ーー今回、相談を寄せた女性は37歳です。年齢は慰謝料額に影響あるのでしょうか?

「裁判では残念ながら、年齢そのもので慰謝料額が上がるとは考えられておりません。一方、結婚を期待する女性の気持ちを利用し、交際するなど、行為態様が悪質であれば、慰謝料の額に影響すると思われます。

今回、交際期間が1年以上と長く、毎週末相談者の自宅に宿泊し、2人で旅行に行く等、行為態様は悪質です。そこで、慰謝料として100万円は欲しいところです。

とはいえ、裁判となると、既婚であることを秘匿されていたことにつき確実な証拠が必要となり、また解決まで長期化することが考えられます。

相談者としては悩ましいところですが、男性側の責任をさらに追及したいと考える場合には訴訟提起を、早期解決を求められるのであれば、70万円の慰謝料でのご示談を選択してもよいと思います」

ーー悪いのは男性とはいえ、交際が男性の妻に発覚した場合には、男性の妻が相談者に慰謝料を請求する可能性があります。

「相手方の妻から、仮に不貞による慰謝料請求がされたとしても、性交をした時点で既婚者であることを知らなかったことを示す証拠があれば、不貞行為の責任を負いません。そのため、既婚者であることを知らなかったことを示すメッセージのやり取り等、証拠があれば、必ず残しておいてください」

プロフィール

瀧井 喜博
瀧井 喜博(たきい よしひろ)弁護士 弁護士法人A&P 瀧井総合法律事務所
「あなたの『困った』を『よかった』へ」がモットー。あらゆる「困った」の相談窓口を目指す、主に大阪で活動する人情派弁護士。自由と自律性を押し出す新しい働き方、楽しく成長し続けることができる職場環境として、「ブラック」でも「ホワイト」でもない「カラフル」な職場の構築、拡大を目指して、日夜奮闘中。

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