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父が犯した「妊娠中の浮気」という大罪…いじめ、不純異性交遊「私は要らない子」と追い詰められて
画像はイメージです(Fast&Slow / PIXTA)

父が犯した「妊娠中の浮気」という大罪…いじめ、不純異性交遊「私は要らない子」と追い詰められて

親の不倫や離婚は、子どもにも大きな影響を与える。弁護士ドットコムニュースのLINEで、読者から不倫体験を募ったところ、たくさんの情報が寄せられた。今回、お話を聞かせてもらったのは、30代後半の女性Lさんだ。

父の不倫を理由にLさんが1歳の時、両親は別居をはじめた。その後の母、兄との3人暮らしは楽ではなく、大きな心の傷を負うことになったという。

現在、美容師として働く都内在住のLさんは、自らも2児を抱えるシングルマザーとなった。高校生の長男はLさんの母親と、中学生の次男はLさんと一緒にそれぞれ暮らしている。ちなみに子どもの父親はそれぞれ違う。

「私は自分を要らない子だと思っていました」。そう語る彼女の人生を振り返ってみたい。

●小さな町工場、父の不倫相手は「パート従業員」だった

Lさんの父親は、自動車部品工場を経営する2代目社長だった。母親は夫の仕事を手伝い、自営業でありがちなことだが小遣いも給料もなく働き続けてきた。そんな小さな工場で毎日顔を合わせ、挨拶をする女性パート従業員。父親より10歳年下の彼女こそ、父親の不倫相手だったのだ。

「母は私を妊娠中に、父の不倫に気づいたみたいです。『出産したらやめてくれるはず』と思い、黙っていたけど、そんな淡い期待も見事に裏切られ、産後も不倫は続きました。私が1歳になったことをきっかけに、離婚を考え始めたようです」

その時、両親は結婚して10年。7歳の息子、そしてお腹の中にはLさんがいた。

●夜逃げをしなければ「監禁されていた」厳しい結婚生活

我慢を重ねた母だったが、ついに兄とLさんを連れて夜逃げした。

工場の敷地内にはLさん家族の自宅と、父親の両親の自宅が隣り合う。そんな環境で、生活費は姑に握られ、働いても給料はもらえず、母親の自由な行動は制限されていた。真正面から離婚の話し合いを求めたところで、応じてもらえるはずがない。

母は後に、夜逃げでもしなければ「絶対に監禁されていた」と、Lさんに語っていたそうだ 小さな子どもたちを抱えてお金も持たない母は、自分の実家へと向かった。

「母の実家は厳格な両親だったので、『出戻り』と言われて勘当される可能性もあると思っていたみたいです。『実家で受け入れてもらえなければ、心中も考えた。受け入れてもらえたから死なずに済んだ』と母が言ってました」

実は当初、母親はLさんを父親のもとに置いていくつもりだったという。

「2人を育てるのは大変だろうと。まだ1歳の私なら母親を忘れるこができるなどの理由があったようです」

そんなLさんを「連れていこう。置いていくのはかわいそうだ」と言ってくれたのが、当時まだ小学1年生の兄だった。

●不倫相手の自宅へ侵入した母

家を出た母親は子どもたちの親権と不倫に対する慰謝料を求めるための話し合いを求めた。しかし話は決裂し、離婚裁判へと進む。

対する父親は、Lさんの親権のみを求めて抗戦。数年に及んだ裁判は母親の勝訴で幕を閉じる。2人の子どもの親権・監護権だけでなく、父親から300万円、不倫相手から90万円の慰謝料を獲得したのだった。

「父の周辺は、祖父母や親戚など世間体を考える人たちだったので、誰も証人を引き受けてくれませんでした。一方、母の証人には、両親共通の友人や父のいとこたちが引き受けてくれました。母が苦労していることはまわりからも明らかだったんです。

母親は用意周到でした。浮気の証拠として、父親の外出時間などを記していた日記を書いていたほか、父親の領収書なども残していました」

不倫に気づいたとき、母親は予想もしない行動に出ていた。

「母は父の後を尾けて不倫相手の自宅を突き止めました。そこで初めて不倫相手が工場の従業員とわかったんです。女性の家賃は父親が出していました。母親は父の持っていた合鍵から作った合鍵を複製して、2人が会社にいる時間に『買い物に行く』と言って、不倫相手の自宅内部にあった浮気の証拠写真もおさえていました」

●「母の友達のおじさん」として現れた父

裁判では結局、父は養育費を支払わないかわりに、子どもとの面会交流もしないことになった。現在では考えられないような判決だが、今から30年近くも前には、そういった離婚も多かったのだろうか。

別居してから、子どもたちに会うことができなかった父だが、娘への情はもっていた。Lさんが5歳の頃、保育園の外から娘をこっそり眺めた父が、その晩、離婚後初めて母親に連絡を入れた。

「泣きの電話だったそうです。『どうか娘に会わせてほしい』と。生活が苦しかったこともあると思いますが、母親はそれを受け入れました。養育費を20歳まで払うこと、父親と名乗らないことが条件でした」

小学校の低学年になったLさんは母親に連れていかれたファミレスで、「母親の友達」として紹介された父親と初めて会話を交わした。それからは2か月に一度のペースで「お母さんの友達のおじさん」と会うように。

「実の父親だと名乗らない」という期間は1〜2年間続いた。名乗ることが許されたのは、Lさんが見た「夢」がきっかけだった。

「いつも美味しいものを食べさせてくれる『母の友達のおじさん』が、夢の中で、私の父親として登場しました。その話を母親に伝えると、一生隠し通せるものではないと考えた母親は父親との面会をセッティングしました」

許可を受けた父親は初めて「おじさんは、本当は、Lちゃんのお父さんなんだよ」と正体を明かしたのだった。

「びっくりしましたが、私にとって『おじさん』は優しくて好きなものを買ってくれるいい人でしたし、『私にも、お父さんがいたんだ!』という喜びの気持ちがありました」

それからは、「父親」として、近所のパチンコ屋やゲームセンター、遊園地、動物園、ディズニーランド、ときには遠方への旅行にも一緒に出かけた。

●思春期に不特定多数の男性と肉体関係を持つように

Lさんは保育園に通う頃からイジメに遭ってきた。親の不倫、離婚が理由だ。

「私は『父親に捨てられた子』と言われてきました。私自身も自分を責めてしまいました。私を出産後に両親が離婚していることから、『自分が生まれたせいで両親が離婚した』『自分は要らない子供だ』とずっと考えていました。

生活が苦しくなった母親は睡眠3時間で働き続けたことで、兄と私に身体的・精神的な虐待をはたらきました。そのせいか、兄も私も愛着障害の気があります。私は人格形成の段階での虐待があったので『複雑性PTSD』とも診断されています」

思春期になると、Lさんの生活は荒れた。17歳で初体験を済ませると、不特定多数の男性と肉体関係を持つようになった。

「22才の時、当時付き合っていた男性との間に長男を妊娠したので、一度は結婚しましたが、3年で離婚しました。離婚後も不特定多数との交際はやめられず、次男を妊娠しましたが、相手の男性と音信不通になったため、認知なしで1人で産みました。

出生届にも、父親の名前は記載していません。次男には『死んだ』と伝えています。今後も再婚はする気は全くありません。「私は私自身を不要な子、不要な人間だと思い続けてきました。自分が子を持つようになってようやく、その認識は消えてきましたが、自暴自棄に生きてきた時間はあまりに長すぎました」

●父から届いた「ふざけるな!」というメール、絶縁へ

10年前、工場の経営が傾いたことから父親は自己破産を選び、会社を計画的に倒産させた。跡を継ぐ気だった兄は、自分に相談なくことを進めたことに揉めて絶縁に至る。

母も兄も父親と連絡を取ることはなくなり、Lさんだけが父親と連絡を取り続けた。「数年間、私は父とは、たまに連絡をとり、祖父母の葬式や納骨にも、私だけ立ち会いました」

そんな「父親との最後の家族」であるLさんもついに縁を切るときがやってきた。きっかけは、父親から送られてきたフルーツの箱の宛名書きの字。母親が「父親の字と違う。不倫相手の女の人が、父の代わりに送ってるのではないか」といぶかしんだことから、Lさんは確認のために父親に連絡を入れたところ…。

父親から返ってきたのは、「ふざけるな!」という怒りのメールだった。

「本当に父親の字だったのかもしれない。真実はわかりません。しかし、もし父が変な疑いを今更かけられるのは心外だったとしても、私たち母子が父の不倫により受けたダメージは大きい。不倫を悪いことだったと思っていたら、父が怒る権利なんてないなと思いました。

私も非常に不愉快だったので、父に絶縁宣言をし、着信拒否・メール拒否をしました」

●父親と不倫相手への複雑な思い

「絶縁して連絡を取っておりませんが、父は現在も、不倫相手の女性とずっと一緒にいて、籍は入れずに内縁関係を40年近く続けています。これは想像ですが、籍を入れていないのは相手の女性が私たち親子に配慮したからだと思います。

不倫はよくないですが、彼女に恨みなどを抱く気持ちは、私には全くありません。会社を倒産させたあと、生活保護になった時期もある父の側に居続けたくらいなので、本当に父のことが好きなんだと思います」

Lさんは5年以上、父親と連絡を取っていない。

親の不倫で苦しんできたLさんは、子どもがいながら不倫する世の親たちに呼びかける。

「子どもがいてもいなくても、不倫は確実に多くの人を傷つける行為です。親の不倫は子どもの成長に影響します。大人はバレてないと思ってても、子どもは気づくものです。

性や恋愛に奔放でありたいなら、まず結婚をするべきではありません。そして、配偶者よりも好きな人ができてしまったならば先に離婚して、何かしらの償いをするべきです。どんな問題があるにせよ、不倫をした方が悪いのですから」

●法的には

Lさんに限らず、親の不倫が原因で悲しい思いをする子どもは少なくないのかもしれない。Lさんが言うように、不倫の気持ちが抑えられなくなったら、家族か不倫相手かどちらかを捨てるほどの覚悟が必要なのだろう。

もし万一、不倫された場合には、離婚を心に決めたら、Lさんの母がそうであったように、しっかりと証拠を集めていってほしい。そして新しい生活へと踏み出すためにも、慰謝料はもらうべきだろう。相場については、こちらの記事を参考にしてほしい。

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