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夫が給与明細を偽造、ごまかした金で飲酒、ギャンブル…妻「財産分与で取り返したい!」
写真はイメージです (hanack / PIXTA)

夫が給与明細を偽造、ごまかした金で飲酒、ギャンブル…妻「財産分与で取り返したい!」

一家の家計を預かっている妻は少なくありません。しかし、もしも夫が最初から給与額を偽っていたとしたら…。夫が給与明細を偽造してまでお金をごまかしていたと、弁護士ドットコムに妻から相談が寄せられました。

その妻によると、15年前から偽造された給与明細を見せられ、毎月のお金をごまかされていたそうです。また、ボーナスや転職した際の退職金もなかったと嘘もつかれていました。夫は妻に隠れて、酒を飲んだり、パチンコに使ったりしていたとのことです。

妻は離婚を決意していますが、過去にさかのぼってごまかされていたお金の分も財産分与を求めることはできるのでしょうか。斉藤圭弁護士に聞きました。

●請求は難しいが、慰謝料増額はできる可能性

妻は過去にさかのぼり、ごまかされていた夫の給与金額分についても、財産分与を求めることはできますか?

「ごまかされていた金額が財産分与時点で残っていない場合は、過去の給与につき、財産分与を求めることは困難です。ただし、夫が妻に対して正確な給与額を伝えていなかった点は、離婚慰謝料の増額事由になると考えます。

財産分与は、夫婦で形成した財産を、離婚の際に清算する手続です。多くの場合は、別居時(婚姻関係が破綻した時点)の夫婦の財産合計額を基準として、具体的な分与方法を決めます。ただし、婚姻時点で夫婦それぞれが持っていた財産は『特有財産』となり、分与の対象には含まれません。また、夫婦で協力して得た財産でないものも、分与の対象には含まれません(婚姻中に夫婦の一方が親族の遺産を相続した場合など)。

夫が給与をごまかしていたことは、もちろん問題です。しかし、基準時点でそのお金が残っていないとなれば、財産分与では、請求できません。現存しない金額は、分与のしようがないためです。

しかし、夫の行為は、妻の信頼を裏切るものといえます。よって、離婚慰謝料の増額事由にはなり得るでしょう。なお、この増額があるとしても、ごまかされていた給与の合計額そのものとは異なります。もろもろの事情で算定された慰謝料に、10万円単位での加算がありうる、といったところでしょう」

夫は給与明細を偽造していたとのことですが、刑事的な責任には問われないのでしょうか?

「夫が給与明細を偽造していたことは、理論上は刑事処罰の対象になり得ます。ただし、家族に対する私文書偽造同行使となると、刑事事件として警察及び検察が取り上げることは、想定しにくいと考えます」

プロフィール

斉藤 圭
斉藤 圭(さいとう けい)弁護士 舞鶴法律事務所
東京大学卒、山梨学院大学法科大学院卒。平成22年弁護士登録し、平成24年に山梨県甲府市に舞鶴法律事務所を開設しました。交通事故、債務整理、相続問題など、様々な事件を取り扱っています。

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