名作アニメ「銀河鉄道999」にも参加した有名アニメーターの男性が、メーテルの直筆イラストをネットオークション(ヤフオク)で販売していたと、週刊新潮が7月30日に報じた。出品していたのは、湖川友謙(こがわとものり)さん。週刊新潮などによると、湖川さんは近年、自ら手がけたアニメ作品のキャラクターなどの直筆イラストをネットオークションに出品してきたが、その中にメーテルもあったという(現在は掲載されていない)。
湖川さんは、大ヒット映画「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」(1978年)では、総作画監督も務めているほか、富野由悠季監督とともに、ロボットアニメ「伝説巨神イデオン」「戦闘メカ ザブングル」「聖戦士ダンバイン」なども手がけている。
報道によると、湖川さんはファンにイラストを求められたため、「サービスのつもりで描いている」と説明しているという。言うまでもなく、「銀河鉄道999」は漫画家の松本零士さんが原作。ネットでは、「ネットオークションではなく、同人誌でやればよかったのに…」という声もあった。湖川さんの直筆イラストは、著作権侵害にあたるのだろうか。また、同人誌の場合はどうなるのだろうか。著作権に詳しい桑野雄一郎弁護士に聞いた。
●アニメは原作漫画と別の著作物だが……
アニメーターが、原作者のいるアニメ作品のイラストを自作してネットオークションで販売した場合、著作権侵害になる?
「アニメは原作の漫画とは別の著作物ですが、全く別物というわけではなく、漫画を映画化した二次的著作物と考えられます。キャラクターも、漫画とアニメでは全く同じではないものの、本質的な特徴は漫画と類似していると考えられます。
そして、原作者の著作権は、原作(漫画)を映画化した二次的著作物(アニメ)にも及びます。したがって、原作者に無断でアニメのキャラクターのイラストを描いたりオークションに出品して販売したりすることは原作者のアニメに対する著作権の侵害となります」
では、ファンの求めに応じて、メーテルのイラストを直接ファンに売ったり、同人誌として頒布したりした場合はどうなる?
「著作権法では、私的使用目的の場合は著作権者に無断で複製や翻案ができることになっています。この場合の私的使用とは自分が使う場合や家族など緊密な人間関係のある人に提供する場合に限られています。
ファンに頼まれて描くのは私的使用の範囲を超えるので、著作権侵害となります。実は同人誌に掲載して販売をすることも同様に著作権の侵害です。同人誌の中には、権利者が黙認しているだけで法律上は著作権侵害にあたるものも少なくないのです。
ファンの期待に応えたいという気持ちはわかるのですが、その場合は似て非なるオリジナルのキャラクターにしておいた方がよかったと思います」