夫の不倫が発覚しただけでもショックなのに、その相手が夫からマンションを用意してもらい、生活費を負担してブランド品まで買い与えていたら――。
SNSでは、ある女性がこんな体験談とともに、夫の不倫と「隠し子」まで発覚したとして苦しい胸の内を明かしています。隠し子は、すでに認知もされていたといいます。
妻として到底、納得できるものではありません。
女性は離婚を望んでおらず、不倫相手への慰謝料請求を検討していますが、夫にはそれなりの資産があり、「慰謝料も夫が払ってしまう」とやりきれない思いを抱えています。
そもそも婚姻関係にある夫が、自分のお金を不倫相手のためにどれだけ使おうと「自由」なのでしょうか。妻は、愛人にお金をかけることをやめさせたり、すでに渡った財産を取り戻したりすることはできないのでしょうか。竹村公利弁護士の監修で解説します。
●夫のお金なら、愛人にいくら使っても自由?
──夫名義の預貯金などから不倫相手に多額のお金を使っている場合、妻は「夫婦の共有財産だから」として、支出をやめさせることはできるのでしょうか。また、不倫相手への支出によって妻子の生活費が減っている場合、妻はどのような対応をとることができますか。
まず、夫名義の財産だからといって、すべてが夫だけの財産とは限りません。
婚姻中に夫婦が協力して形成した預貯金などは、名義が夫単独であっても、離婚時の財産分与では夫婦の「共有財産」として扱われる可能性があります。一方、結婚前から持っていた財産や、相続・贈与によって得た財産などは、原則として夫個人の「特有財産」となります。
もっとも、婚姻中の財産について、妻が「将来の財産分与の対象になるはずだから」という理由だけで、夫による処分を直ちに差し止めることは簡単ではありません。
ただし、夫には妻子の扶養義務や婚姻費用を分担する義務があります。不倫相手に多額のお金を使う一方で、妻子に必要な生活費を渡さないような場合には、妻は婚姻費用の支払いを求めることができます。
●愛人に使った「マンション代」「ブランド品」は取り戻せる?
──夫が不倫相手に渡した現金やブランド品、マンションなどに使ったお金について、妻は返還を求めることはできますか。また、不倫相手への多額の支出によって夫婦の財産が減っていた場合、将来の離婚・財産分与で考慮される可能性はありますか。
夫から不倫相手に渡したお金やプレゼントについて、妻が必ずしも「夫婦のお金だから」と不倫相手へ返還を請求できるわけではありません。
ただ、不倫相手への多額の支出によって夫婦の「共有財産」が不当に減少している場合には、離婚時の財産分与で問題になる可能性があります。
たとえば、夫が夫婦の共有財産から不倫相手に多額の金銭を渡し、意図的に財産を隠していたようなケースでは、その支出の時期や金額、目的などを踏まえ、財産分与の算定にあたって考慮される余地があります。
そのため、「不倫相手にいくら使ったのか」を把握できる資料は重要です。預金口座の入出金履歴やクレジットカードの利用明細、不動産に関する資料、送金記録など、客観的な証拠をできる限り確保しておくとよいでしょう。