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隠れて生きてきた同性カップル「人生を肯定された気持ち」 日弁連・同性婚意見書で喜び
日弁連が同性婚の法制化を求める意見書を発表したことを受け、東京・霞が関の司法記者クラブで会見した同性婚人権救済申立の申立人と弁護団(2019年7月25日、弁護士ドットコムニュース編集部撮影)

隠れて生きてきた同性カップル「人生を肯定された気持ち」 日弁連・同性婚意見書で喜び

「うれしいです。人生を肯定されたような気持ちになりました」

そう語ったのは、都内で同性パートナーと暮らす40代会社員の女性、ケイさん。日弁連が7月25日、「同性婚できないのは重大な人権侵害がある」として、国に速やかな同性婚の法制化を求める意見書を公表した(7月18日付)。この意見書は、ケイさんを含めた当事者ら455人が2015年7月、日弁連に対して同性婚の法制化を勧告するよう求めた申立を受け、日弁連で協議して出されたものだった。

意見書の公表を受けて、申立人や弁護団が7月25日、東京・霞が関の司法記者クラブで会見。弁護団は、「日弁連が申立人の同性婚を求める切実な声にきちんと声を傾け、事件侵害の実態をしっかりと把握し、4年間に慎重な議論を重ねて、極めて適切かつ妥当な意見を社会に顕したことに、敬意を表します」とコメントした。

●同性パートナーと交際20年、でも「他人」…

ケイさんとパートナーは、「クローゼット」として生きてきたという。クローゼットとは、自分の性的指向を家族や職場などで隠していることを意味する。ケイさんは会見でその生きづらさを吐露。日弁連の意見書によって、人生を肯定されたような気持ちになったと喜びを語った。

「私たちは20代で出会い、支え合って生きてきました。もはや恋人と表現するのも違和感があり『家族』や『伴侶』という言葉以外に私たちの関係を表現できる言葉が見つけられません。

私名義の持ち家に暮らし、不動産以外の財産は事実上共有しており、共働きで生活費を出し合って暮らす『夫婦』と変わらない生活を送っていますが、公的には自分たちの関係を証明するものがないため、ただの『同居人』ということになります。

私たちの関係はどれほど年月を重ねたとしても、交際2カ月の電撃結婚カップルよりも社会的には関係性が弱い『他人』です」

同性パートナーと今年6月、交際20年の節目を迎えたというケイさん。日弁連の意見書を受け、「これからの世代のためにも、国には一刻も早く同性婚を可能にしてほしいです」と訴えた。

●意見書は同性婚訴訟の大きな支援に

申立人の一人であるタレントで文筆家の牧村朝子さんも会見でコメントした。牧村さんは、大正から昭和にかけて活躍した作家、吉屋信子さんとそのパートナーの女性や、明治時代に新潟で共に自死した若い女性カップルの人生に触れ、現在、同性婚の議論が進む中で「日本がおかしくなる、と思う方もいるでしょう。けれど日本列島には、静かに、それでいて確実に生きてきたのです」と語った。

また、申立人であり、同性婚訴訟の原告でもある香川県の田中昭全さんと川田有希さんも会見に参加した。田中さんは、「この参院選でも、同性婚の実現は重要な争点になっていました。それは『婚姻』という制度そのものが、時代に合わせて更新されるべき時が来ているからじゃないでしょうか?」と投げかけた。

申立人と弁護団にとっては、申立から待ち続けた4年間だった。その間、全国4つの地裁で、同性婚を求める集団訴訟が起こされている。

弁護団の一人である上杉祟子弁護士は意見書について、「同性婚訴訟の大きな証拠になると思います。同性婚実現に向けた後押しになります」と語った。

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