同性婚が認められていないのは婚姻の自由を保障する憲法に違反するなどとして、同性カップルが国を相手取り、全国4地裁で集団提訴した裁判の第2回口頭弁論。東京地裁でも7月8日に開かれた(田中寛明裁判長)。東京地裁の原告は5組10人。
国側は、原告側の訴えに対し、「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立」すると規定する憲法24条1項は、「同性婚を想定していない」と主張している。
しかし、口頭弁論で原告弁護団がさらに詳しい説明を求めると、国側は「想定していない」という回答を10回以上も繰り返した。また、原告弁護団が性的指向について、「自分自身の努力では変えられないという認識」を法務省が難民認定や啓蒙活動などで認めていることを指摘すると、国側は「担当部署が違うので」として議論を避け、傍聴席からは失笑を買っていた。
●原告弁護団は「不誠実」と厳しく批判
この日、法廷で原告側弁護団が国側に何度も確認したのは、「両性」と書かれた憲法24条1項についてだった。これが同性婚を「想定していない」という国側の反論について、「禁止」しているのか、「許容」しているのか、その立場を明確にするよう追及した。
しかし、原告弁護団からの厳しい問いに対し、国側は「想定していない」という回答を10回以上は繰り返すに終始した。双方の応酬に、「押し問答になっている」と裁判長が苦笑する場面もあった。
他にも、原告弁護団は、2020年に東京五輪が開催されることをふまえ、オリンピック憲章では、人種や性別などと並んで、性的指向によって差別することを禁じていることを指摘。また、法務省は昨年、自国で迫害された同性愛者を難民に認定した事例があり、その際には「同性愛指向」について、「人格又は自己同一性に密接に関わり、変更することが困難な特性」と明記していることに触れた。その上で、国側にも性的指向についての認識を聞いたが、国側は「担当部署が違うので」として議論を避けた。
原告弁護団はこうした国側の態度に対し、「不誠実だ」と強く抗議。「原告は切実な思いで裁判をしています。誠実な対応をお願いします」と申し入れた。
●原告、国側の回答に「国語だったらゼロ点です」
国側の態度に、原告団は落胆を隠さなかった。口頭弁論後に開かれた集会では、原告の一人である佐藤郁夫さんは、「同性婚を憲法が想定していない、という国側の反論を聞くうちに、性的マイノリティを想定していないというふうに聞こえてしまった」と話し、「(同性愛者の)友人でガンと戦っている人がいる。その人の命があるうちに、実現してほしい」と涙ぐんだ。
また、同じく原告の西川麻美さんは、「私にも、家族を作れる自由があるのかどうか、国に答えてほしい。憲法で想定されていないということですが、自由があるのか、ないのかがわからないです。国語の答えだったらゼロ点です」と厳しく批判した。
東京地裁の第3回弁論は10月16日に開かれる。