元の持ち主はヘソクリを隠したまま忘れてしまったのだろうか・・・。福井市のリサイクル店で、オークションで仕入れたタンスの中から、現金28万円が入った封筒が出てきた。
福井新聞によると、タンスは上部に洋服を収納し、下部に引き出しがあるタイプ。店長が1月中旬、タンスの中を掃除していたところ、引き出しの中に強いてあったシートの下から封筒が出てきた。
封筒の中には、旧1万円札27万円と旧5千円札2枚の計28万円が入っていたという。すでに警察に届け出たということだが、現金は誰のものになるのだろうか。浜田諭弁護士に聞いた。
●現金も「遺失物」となる
「判例上、金銭を現実に支配(占有)する人が、金銭の所有者であるとされています。したがって、今回のケースでは、購入したタンスの中から見つけたリサイクル店の店長が<現金28万円>を『占有』する人として、所有者となります」
警察に届けなくてもいいということだろうか。
「ただ、現金も、財布などを拾ったときと同じように、『遺失物』とされますので、現金の持主がわからない場合、店主は、すみやかに、拾得をした現金を警察署長に提出しなければなりません(遺失物法4条1項)。
そして、遺失物法の定めるところによって公告をした後、3カ月以内にその所有者がわからないとき、拾得した人が『その所有権を取得する』ことになります(民法第240条)。
今回のケースでは、拾得物として、警察に届け出ていますが、警察署で公告(警察署の掲示板での掲示等)された後、3カ月以内にその所有者が判明しないとき、拾得した店主のものになります」
もし警察に届けなかったらどうなるのだろうか。
「今までは民事上の話で、刑事責任については評価が異なります。今回のケースでは、元の持主はタンスの中にうっかり現金を残したままオークションに出してしまったのだろうと思います。
元の持主がうっかり手放してしまった物は、刑法上の『遺失物』と評価されますので、警察に届けないと、『遺失物』を『横領』したとして、遺失物横領罪(刑法254条)が成立する可能性があります」