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インスタの「スパムコメント」に菜々緒さん激怒ーー投稿した業者は「何罪」になるの?
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インスタの「スパムコメント」に菜々緒さん激怒ーー投稿した業者は「何罪」になるの?

簡単な操作で「写真」を加工して、多くの人に届けることができるスマホアプリ「インスタグラム」。芸能人の何気ない日常を垣間見ることもできるとあって、人気のSNSだ。 しかし、モデルで女優の菜々緒さん(27)は、インスタグラムのコメント欄にダイエット賞品や歯のホワイトニングなどを宣伝する「スパムコメント」が多く投稿されることに対して、不満を爆発させた。

菜々緒さんは昨年末、コメント欄に書き込まれるスパムコメントの多さにあきれ、インスタグラム上で「ダイエット関連の商品を勧めるコメントは悪徳なスパム広告です」と警告。インスタグラムの日本公式アカウントへ「気付いてください」と訴えた。

さらに、「ブロックしても新しいアカウント作ってイタチごっこ。スパム削除しても数日後には復活してる。あたかも私が紹介したかのように書いたりしてますが、私とは一切関係ないものです」とファンに呼びかけていた。 

このようなスパムコメントを投稿する業者に法的な問題はないのだろうか。また、インスタグラムの運営事業者がスパムコメントを放置し続けた場合、損害賠償責任などを負う可能性はあるのか。深澤諭史弁護士に聞いた。

●偽計業務妨害罪の可能性

「膨大な量のスパムを紛れ込ませ、あるいは混同させて、ファンとの交流という業務を妨害をしているわけですから、スパム業者の行為は、偽計業務妨害罪(刑法233条、3年以下の懲役または50万円以下の罰金)にあたる可能性があります」

深澤弁護士はこのように語る。

「ただし、妨害されているといっても、程度や方法の問題がありますので、直ちに成立するとまで言い切るのは難しいでしょう。

また、犯罪が成立するほどではなくても、ファンとの交流や正常なサービスの利用という『権利または法律上保護される利益』を侵害した不法行為として、スパム業者に賠償を請求(民法709条)したり、差止めを求めることができる可能性は十分にあると思います。

ただ、残念ながら、スパム業者の特定や被害額の算定などのハードルが多く、これら法的措置が直ちに効果的とまではいえません」

では、運営会社の責任はどうなるのだろうか。

「インスタグラムの利用規約の一般条項7として『利用者は、Instagramがいかなるユーザーの行為についても責任を負わないことに同意します』とありますので、運営会社の責任を追及するのは、一般的に難しいと思われます。

インターネット広告の中には、悪質なものも多く、現に様々な相談を受けることがあります。中には売上の9割(!)が報酬になるアフィリエイト広告などもあり、果たして値段相応の商品なのか疑問があるものまでありました。

消費者が賢く選択をすれば、こういう悪質な広告は、自ずから消えるでしょうから、インターネット時代の消費者は、ますます賢くなることが求められていると思います」

深澤弁護士はこのように話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

深澤 諭史
深澤 諭史(ふかざわ さとし)弁護士 服部啓法律事務所
明治大学法学部卒業、東京大学法科大学院修了。IT関連事件、ネット上の表現トラブル、刑事弁護、弁護士法令問題などを中心に取り扱う。主な著書に「弁護士の護身術」「まんが 弁護士が教えるウソを見抜く方法」「その「つぶやき」は犯罪です」、「弁護士のための非弁対策Q&A」「Q&A弁護士業務広告の落とし穴」「インターネット権利侵害Q&A」。

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