2014年11月24日 08時41分

「ネットゲームがやめられない」 青少年が陥る「ネトゲ依存症」の怖さとは?

「ネットゲームがやめられない」 青少年が陥る「ネトゲ依存症」の怖さとは?
心理療法士の三原さんは、青少年のネット依存の問題について語った

オンラインゲーム中毒を始めとする青少年のネット依存を考えるシンポジウムが11月23日、東京都庁で開かれた。インターネット依存症の治療に取り組む、国立病院機構・久里浜医療センター(神奈川県)の心理療法士・三原聡子さんは「ネット依存の青少年の多くは、深夜の2時、3時まで大興奮してネットをやり続けます。すると、あっという間に昼夜逆転の生活になり、朝起きられないために遅刻・欠席が続き、留年や退学をせざるを得なくなる子も多いです」と語った。

ネット依存を放置するわけにはいかない、そう主張する三原さんは「私が扱ったケースの中には、ネットに依存するあまり犯罪に至ったケースすらあります」と、次のような事例を紹介した。

●ネットカフェの無銭利用→少年院へ

18歳の少年A君は、中学生のころからオンラインゲームに熱中し、母親に注意されると、暴言を吐いたり暴力をふるうことがあった。サポート校に進学後、見かねた母親によって家のネット回線が切られ、スマホやパソコンを取り上げられると、A君はネットカフェに通うようになったという。

「A君は、ネットカフェの無銭利用を100回以上も繰り返しました。お金があっても無くても、家を出てネットカフェに行ってしまうので、お母さんが店に頼んで出入り禁止にしてもらったこともあります」

A君は、ネット依存症を克服するため、三原さんのセンターを受診した。しかし初めてセンターを訪れた直後、再びネットカフェを無銭利用。警察に逮捕されて、少年院に1年間、入ることになってしまった。

A君は出院後に3回ほど、センターを受診したが、いまもネットカフェ通いは続いている。A君については、入院も視野に入れて治療の方針を検討しているところだと、三原さんは語った。

●1日12〜14時間ゲームに没頭

一方、深刻なネットゲーム依存から回復したケースもあるという。

「17歳の高校生B君は、小学校のころから水泳選手を目指してスイミングスクールに通い、クラスではリーダー的存在でした。中学2年生からオンラインゲームをやり始めましたが、そのころはリビングにある家族共用のパソコンを使っていたので、家族が寝る23時ごろになると、ゲームをやめていました」

ところがB君の状況は、高校進学を機に変わり始めた。

高校の水泳部の先輩との関係が悪くなり、1年生のゴールデンウィーク明けに退部した。バイトを始めたB君は毎月1〜3万円をゲームにつぎ込むようになり、高1の3月にはバイト代で自分専用のパソコンを購入した。この頃から、B君の生活リズムが崩れ始めたという。

「深夜までオンラインゲームで遊ぶようになって朝起きられなくなり、高2の11月以降は学校へも行けなくなりました。高校2年生の3月に初めて当センターを受診しましたが、その後、通っていた中高一貫校からサポート校へ転校しました。しかし転校後も、1日12〜14時間をオンラインゲームに費やしていました」

●立ち直ったきっかけは?

完全にネットゲームにはまっていたB君に、ある転機が訪れる。それは、通っていたサポート校の留学プログラムへの参加だった。

「B君は高3の6月、アメリカのコロラド州に3週間ホームステイをしました。ホームステイの間は完全にネットから離れていたようですが、帰国後はまたネット生活に戻ってしまいました」

ところが8月頃、一緒にアメリカ留学をしたサポート校の同級生から、B君に1本の電話が入った。その電話で同級生から「君は大学受験しないの?一緒の大学に行こうよ!」と言葉をかけられた。

この電話がきっかけとなりB君は「僕、絶対大学に行く」と、一念発起して10月から予備校に通い始めた。ネットを封印して勉強に取り組んだが、受けた学校すべてで不合格となった。

「受験に失敗したとき、周りは皆『またネット生活に戻ってしまうのではないか?』と心配しました。しかしB君は気持ちを切り替えて専門学校に進学し、今は公認会計士になるために週6日学校に通って猛勉強しています。今の彼はとても良い表情をしています」

●ネット依存症は「正式な診断基準がない」

三原さんは「ネット依存症」治療に取り組む医療機関の数が、まだ少ないと指摘する。治療研究は進んでおらず、ネット依存だと診断するための、正式な基準もないという。そこで、三原さんの働く医療センターには、北海道から鹿児島まで全国の保護者から子どものネット依存に関する相談が寄せられ、5ヵ月先まで予約でいっぱいだという。

三原さんは「私どものセンターでは、治療の一環としてカウンセリングや6〜8週間の入院治療、夏には合宿形式の治療プログラムも行っています。回復の過程は人ぞれぞれです。個別に立てた目標をベースに、『健康状態の改善』『現実生活の充実』を目指して、治療を行っています」と語っていた。

(弁護士ドットコムニュース)

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