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ワクチンデマめぐり名誉毀損で訴えられた医師、裁判の「秘匿」取り消し申し立て 原告の名前不明は「対等性を阻害する」
記者会見を開いた岡医師(左)と野間弁護士(2024年8月2日/東京・霞が関の司法記者クラブ/弁護士ドットコム撮影)

ワクチンデマめぐり名誉毀損で訴えられた医師、裁判の「秘匿」取り消し申し立て 原告の名前不明は「対等性を阻害する」

新型コロナに関して感染症専門医の立場から情報を発信してきた医師の岡秀昭氏が8月2日、ネット上の投稿をめぐって起こされた損害賠償請求訴訟で相手原告の名前や住所が伏せられる「秘匿」の措置が取られたことについて、東京地裁に取り消しを申し立てた。

岡氏はこの日、東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見を開き「原告秘匿で訴訟が起こされ、私がどなたの名誉を毀損しているか、まったくわからない。このようなことが起きると実名では有益な情報提供ができなくなる。匿名者が気に入らない相手のあらを探して訴えることができる。そして、訴える側は名前も住所もすべて隠すことができる。そんな不公平なことがあってはならない。裁判所には秘匿を見直していただきたい」とうったえた。

岡氏の代理人をつとめる野間啓弁護士によると、岡氏がX(旧ツイッター)上で新型コロナワクチンに関するデマなどに反論する投稿を続けていたところ、匿名アカウントの利用者が岡氏の投稿で名誉を傷つけられたなどとして、損害賠償を求めて提訴した。

そして、原告は、名前や住所を伏せて裁判をおこなう「秘匿措置」を申し立て、東京地裁が秘匿を決定した。秘匿となった理由は、被告である岡氏側に明かされていないという。

秘匿の制度は、性犯罪やDVの被害者などを保護する想定で整備された経緯があることから、野間弁護士は「Xに実名で投稿している人に対して匿名で投稿している人が裁判を起こす際に秘匿の制度を使ってきたことに私は驚愕しました」と話した。

そのうえで「今回、原告の名前を当事者にオープンにしないことは、対等性を阻害し非常に問題。秘匿がどのくらいの実態で認められているかはわからないが、こういうことに声をあげないとネット社会で、いっぱい裁判を起こす人が出てくるのではないかと非常に恐ろしい」と述べた。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

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