寝ても覚めても、スマートフォンをさわっていないと落ち着かない。SNSやオンラインゲームをチェックせずにはいられない。そんな「スマホ依存」が中高生にも広がっているようだ。対応に苦慮した学校が、校内でのスマホ使用を禁止するケースもあるようだ。
ネット上には、授業中に使っているのが見つかって、教師に取り上げられたという生徒側の書き込みもある。とあるQ&Aサイトには、よほど心外だったのだろう、スマホを没収した教師は「窃盗罪」にあたるのではないかとたずねる投稿もあった。
ドロボウ呼ばわりは無理がありそうだが、言われてみると、生徒の持ち物を取り上げる法的根拠について、きちんと説明する教師には出会ったことがない。それは、どんな理由で許されるのだろうか。教育問題に詳しい宮島繁成弁護士に聞いた。
●「教育目的」のためなら持ち込み禁止も許される
「学校が生徒の持ち物について権限を及ぼすことができる根拠は、それが『教育』に必要だからというところに行き着きます。
『学校は、教育目的を達するため、必要かつ合理的な範囲内で、生徒に対し一定の制約を課すことができる』と述べている裁判例もあります。また、学校教育法11条も、教育上必要があるときは懲戒を加えることができると定めています」
では、スマホの持ち込みを「禁止」するのは、許されるだろうか。
「スマホに対する評価はさまざまですが、教育目的の見地から持ち込みを禁じることは必要かつ合理的な範囲内といえるでしょう。もっとも、生徒にわかるようにあらかじめ校則などで決めておくことが望ましいと言えます」
●「一時的に取り上げる」ことはできるが・・・
そうなると、スマホを「没収」することも、認められるのだろうか。
「持ち込みを禁止する以上、違反した場合は一時的に取り上げることも可能です。ただ、文字通りの『没収』、つまり取り上げたまま返さないという意味なら、それができる対象物は限られるでしょう。
たとえば、スマホやマンガやゲームなどは、一時的に取り上げたとしても、その日かしばらく後には本人に返す必要があります。
生徒にも所有権(財産権)があり、それは学校といえども侵害することはできないからです」
中には、生徒に返さなくてもよい物もあるのだろうか?
「もしその物が、違法な薬物などであれば、返却しない、文字通りの『没収』をすることも可能でしょう。所有することが法的に認められていない物であれば、権利の侵害もありませんからね」
宮島弁護士はこのように話していた。