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伊藤詩織さんが杉田水脈衆院議員と大澤昇平さんを提訴 「ツイッターの投稿で名誉を傷つけられた」
伊藤詩織さん(2020年6月8日、都内で弁護士ドットコム撮影)

伊藤詩織さんが杉田水脈衆院議員と大澤昇平さんを提訴 「ツイッターの投稿で名誉を傷つけられた」

ジャーナリストの伊藤詩織さんが8月20日、元TBS記者の山口敬之さんからの性暴力被害を訴えた事件を巡り、ツイッターの投稿で名誉を傷つけられたとして、自民党の杉田水脈衆院議員と大澤昇平さん(元東京大学大学院情報学環・学際情報学府特任准教授)を相手取り、慰謝料など計330万円の支払いと投稿削除を求めて東京地裁に提訴した。

東京地裁は2019年12月18日、伊藤さんが元TBS記者の山口敬之さんからの性暴力被害を訴えた訴訟の判決で、山口さんが合意のないまま性行為に及んだと認定し、330万円の支払いを命じている(山口さんが控訴中)。

●杉田議員に対する訴え

訴状によると、杉田議員は2018年6月28日に英BBC放送で放送された伊藤詩織さんを取り上げた番組で、「女としても落ち度がありますよね」「伊藤詩織さんが記者会見をおこなって、嘘の主張をした」などと発言。ツイッターで「介抱してくれた男性のベッドに半裸で潜り込むような事をする女性」などと記した。

その後、6月30日〜7月18日に伊藤さんについて「枕営業の失敗」「彼女がハニートラップを仕掛け(た)」などと投稿した他人のツイートを「いいね」した。

伊藤さんは杉田議員のツイッター投稿が指す女性は自身だと指摘。杉田議員の「いいね」は不特定多数が認識しうる場でなされているもので、「国会議員で約11万人(当時)ものフォロワーがいる杉田議員が『いいね』で中傷投稿に好感を宣明したことは、名誉感情侵害行為に当たる」と主張し、慰謝料など220万円を求めている。

●大澤昇平さんに対する訴え

また、大澤昇平さんは2020年6月10日〜24日、伊藤詩織さんがツイッターの誹謗中傷を巡り漫画家のはすみとしこさんらを提訴したことを受け、自身のツイッターに「刑事裁判でレイプが認められなかったにもかかわらず、その後の民事裁判の結果をレイプを関連付けている」などと投稿。破産事件に関する官報の一部と思われる写真とともに「伊藤詩織って偽名じゃねーか!」とツイートした。

伊藤さんは「通名を『伊藤詩織』とする外国人が破産開始決定を受けたというのは、ツイッターで拡散されているデマ」と指摘。「訴訟提起をしたことを理由に、さらに誹謗中傷するもので、いわば『三次被害』というべきもの」と主張し、投稿削除と慰謝料など110万円を求めている。

●中傷に「いいね」 、代理人「集団的ないじめのような構造」

提訴後、都内で代理人弁護士が会見を開いた。

伊藤さんの代理人弁護士 伊藤さんの代理人弁護士

伊藤さんは性犯罪被害者が声を上げられない事態に対して憂慮しており、今回の提訴についても「自分が傷ついた発言についてそのまま抱えて過ごしてしまったら、同じ立場にある人が声を上げられなくなってしまう。自分としてはつらいけど、看過できないものについては、きちんと声を上げていきたい」と話しているという。

今回の訴訟では、杉田議員が伊藤さんを誹謗中傷するツイートに「いいね」をしたことを問題としている。

代理人の佃克彦弁護士は「すごい数の人たちが伊藤さんを中傷し、杉田議員はそれらを片っ端からいいねしている。集団的ないじめのような構造を呈していることが問題だ。寄ってたかって杉田氏が伊藤さんを傷つけていることが、著しい名誉感情侵害だと考えている」と話した。

杉田議員と大澤さんは弁護士ドットコムニュースの取材に、「訴状が届いていないため、コメントを差し控えます」と回答した。

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