2019年12月04日 10時07分

日本郵便の関連サイトでまたも素材の「無断配布」 夏には「かもめーる」が問題に

日本郵便の関連サイトでまたも素材の「無断配布」 夏には「かもめーる」が問題に
DMファクトリー(2019年8月キャプチャー/https://dmfactory.biz.post.japanpost.jp/template/material.html)

日本郵便が運営するダイレクトメール(DM)の作成ページ「DMファクトリー」で、イラストなどの素材が権利者に無許可で、ダウンロードできる状態になっていたことがわかった。該当点数は不明だという。ページはすでに閉鎖されている。

問題となった「デザイン素材」ページには、横5列になった素材の画像が縦数十列並んでいた。ダウンロードボタンがあったわけではなく、右クリックも禁止されていたという。ただし、ソースコードから画像URLが分かり、PCなどに保存することができた。

ストックサイト「PIXTA」によると、契約タイプ上、素材をテンプレート等に組み込んだ形ではなく、オリジナルの形で抜き出せるようにすることは許可されていない。無断の二次配布ということになる。

日本郵便では今年8月にも夏限定のくじ付はがき「かもめーる」用の無料テンプレート・素材ページで、画像90点が同様の状態におかれており、HPで謝罪した経緯がある。

日本郵便は取材に対し、「認識が甘かった」と陳謝した。クリエーターにも連絡をとっており、「現状では補償までは考えていないが、具体的な悪用事例などがないか注視している」という。

●8月に「問題ない」と回答も実は…

該当するページが閉鎖されたのは9月10日。すでに3カ月ほどがたっているが、ウェブサイト運営側にとって、他山の石とすべき事例として紹介したい。

ページは閉鎖されている ページは閉鎖されている(https://dmfactory.biz.post.japanpost.jp/template/material.html)。

8月の「かもめーる」騒動は、無断二次配布に気づいた権利者がツイッターで問題提起したのが発端になった。弁護士ドットコムニュースも、PIXTAと日本郵便に取材して記事にしている。

このとき、弁護士ドットコムニュースは、DMファクトリーにも権利侵害がなかったのかをメールで質問。日本郵便からは次のような回答を得ていた。

「お問い合わせいただいていた、DMファクトリーの素材については、同種の問題はございませんでした」(8月15日)

しかし、読者からの指摘で、DMファクトリーにPIXTAと同じイラストがあることを発見。9月9日、具体的なイラストを示し、利用規約に違反していないかをPIXTAに尋ねた。

10月になって、同じ読者からDMファクトリーの素材ページが消えているとの連絡があり、PIXTAに回答を催促したところ、前回の質問をきっかけに権利侵害が判明した、という返事があった。つまり、日本郵便に確認ミスがあったということだ。

●ソースコードで見られた「ダウンロードは想定していなかった」

一度権利侵害の有無を確認しているはずなのに、どうして日本郵便は問題に気づけなかったのだろうか。

弁護士ドットコムニュースは11月21日にメールで質問を送付。12月3日になって日本郵便から電話で次のような回答を得た。

「もともとダイレクトメールのデザインを発注するとき、指定できるイラスト素材の『カタログ』(一覧)という位置付けだった。右クリックは禁止していたが、ソースコードで画像URLがわかる状態だった。ダウンロードできるということを想定しておらず、見落としてしまった」

現在、サイトの制作会社を通して、掲載画像の不正使用がないか、ネット等を注視しているところだという。

DMファクトリーの「デザイン素材」ページ。「DMファクトリー内で自由に使える、写真やイラストを豊富にご用意しました。」とある(2019年8月キャプチャー) DMファクトリーの「デザイン素材」ページ。「DMファクトリー内で自由に使える、写真やイラストを豊富にご用意しました。」とある(2019年8月キャプチャー)

●二次配布の可否には要注意

弁護士ドットコムニュースは、二次配布されていたイラストレーターのひとりにも取材を申し込んだ。しかし、「回答は控えたい」とのことだった。

前回の「かもめーる」のときも、権利を侵害された別のイラストレーターに取材を申し込んだが断られている。

企業との力関係でいえば、クリエーターは弱い立場にある。「権利にうるさいやつ」というイメージがつけば、仕事がなくなるという恐怖心もあるかもしれない。権利侵害とはいえ、経済的損失の把握が困難なことも、意見表明を難しくしていそうだ。

制作会社がつくったサイトだけに、企業側がすべての画像をチェックするのは困難かもしれないが、クリエーターの権利を保護していくためには企業側の意識が欠かせない。特に素材サイトで画像を使用する際には、規約を再確認するなど改めて慎重な配慮が必要といえそうだ。

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