2019年も残すところわずか。忘年会や新年会のシーズンになり、張り切っている幹事さんも多いことでしょう。
宴会では、あらかじめ支払う金額が決まっている「飲み放題プラン」が人気です。注意したいのは「ビール」の中身。「ビール」と称して「発泡酒」などを提供する店もあるようです。
見た目は似ていますが、発泡酒はビールに比べて、使っている麦芽の量が少なく、「味が違う」とビール党の不評を買うことにもなりかねません。
そもそも飲み放題メニューに「ビール」と書いているのに、発泡酒などを提供するのは、ウソをついていることにならないのでしょうか。法的に問題ないのかを石崎冬貴弁護士に聞きました。
●景品表示法にかかわる
「ビール」と「発泡酒」は、法律上、明確に区別されていますから、「発泡酒」を「ビール」と称して売るのは違法です。
現実でも、飲み放題メニューの中に「ビール」と表示しながら、実際には発泡酒を提供していたお店が、景品表示法(商品の表示や宣伝などを規制する法律)に違反するということで行政指導を受けたケースがあります。 「優良誤認」といって、実際よりも商品を良く見せて誤解させたという理由からです。
したがって、基本的には、「発泡酒」を「ビール」として売ってはいけないということになります。
●海外ビールの中には、日本の法律上「発泡酒」に分類されるものも
ただ、難しいのは、法律上の「ビール」の定義と一般常識としての「ビール」が違う場合です。
ビールの定義は、「麦芽比率50%以上であること」「定められた副原料を使うこと」「副原料の重量の合計が、仕様麦芽の重量の5%以内であること」と明確に決まっています。
しかし、これはあくまで日本国内の話であって、海外での定義はまた違います。例えば、麦芽比率50%以上でも、認められていない副原料を使ってしまえば、日本ではビールを名乗ることができません。
実際には、海外では「ビール」として売られていて、明らかに味わいはビールでも、日本では発泡酒や新ジャンルとして売られているものがあります。
したがって、このような海外のビールを「ビール」として表記した場合、顧客が誤解するのかという問題はかなり微妙なところだと思います。
ただ、その場合でも、日本国内でビールとして売れないものであれば、「海外のビール」とか商品名そのものを表記するといった形で、お客さんが誤解しないようにするべきでしょう。