国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」の企画展「表現の不自由展・その後」の再開を受け、名古屋市の河村たかし市長が10月8日、会場である愛知芸術文化センターで抗議の「座り込み」をしたことについて、愛知県の大村秀章知事は10月11日、河村市長に謝罪を求める質問状(https://www.pref.aichi.jp/uploaded/life/258562_878245_misc.pdf )を出した。大村知事は、河村市長の行為に対して「県条例の規定に違反する」と強く批判している。
●約20分の「滞在」で市長は何をしたのか?
「表現の不自由展」は開幕直後からネットなどで炎上、電凸や脅迫が相次いだことから、8月3日に中止となっていたが、来場者を抽選したり、厳しいセキュリティーチェックをしたりするなどの対策をとり、10月8日午後2時過ぎに再開していた。
質問状によると、河村市長は次のように行動したという。
・10月8日午後2時ごろ、愛知芸術文化センターの1階正面玄関に到着。
・愛知県の担当職員から、「(トリエンナーレ会場の)8階が大変混雑していることから、危険である。1回目の抽選に参加した700人が残っている。今、8階に行くと人が殺到し、会場が混乱して危険なので、2階でお話させてほしい」と説明を受ける。
・これに対し、市長は「あんたらぁがこういうことするから、たくさん来ちゃうんだろうがぁ」(原文ママ)と言いながら、センターの1階から2階へ移動。
・センター2階で担当職員がさらに市長に話をしようとしたところ、市長の随行者と思われる者が「市長、こっちです」と屋外で街宣活動をしていた集団との合流を促した。
・屋外のデッキでは、30人ほどの集団がプラカードを掲げて街宣活動をしており、市長も合流。この集団は「愛国倶楽部」と称する集団だった。
・デッキは2階出入口につながるセンターの敷地内で、市長は視聴覚障害者誘導用ブロックに座り込んで、愛知県芸術文化センター長の承認を受けずにプラカードを掲げたり、大声で演説したりした。これにより、多くのメディアや聴衆が集まり、通行の妨げにもなった。
・市長は約10分後、集団とともに大声でシュプレヒコールを行い、午後2時20分ごろ、センターを立ち去った。
●市長「その団体とは、関係ありません」と関係否定
大村知事はこうした行為に対して同日、すぐにTwitterで「まさか、こんなことをするなんて。衝撃です。制止を振り切って、県立美術館の敷地を占拠して、誹謗中傷のプラカードを並べて、美術館の敷地の中で叫ぶ。芸術祭のお客様の迷惑も顧みず。常軌を逸してます。厳重に抗議します」と投稿していた。
まさか、こんなことをするなんて。衝撃です。制止を振り切って、県立美術館の敷地を占拠して、誹謗中傷のプラカードを並べて、美術館の敷地の中で叫ぶ。芸術祭のお客様の迷惑も顧みず。常軌を逸してます。厳重に抗議します。 https://t.co/D6gyJGrvjc
— 大村秀章 (@ohmura_hideaki) 2019年10月8日
質問状では、河村市長の行為に対して、「愛知県芸術文化センターの秩序を乱す行為」であり、愛知県芸術文化センター条例や管理規則などの規定に違反すると指摘。「1、事実関係について見解をお伺いしたい」「2、事実関係を踏まえ、愛知県に対して謝罪するとともに、再発防止について確約していただきたい」と書面での回答を求めている。
この質問状が出された同日、河村市長はTwitterで「なを大村知事twitterに、ある団体と一体との書き込みありますが、ボクとその団体とは、関係ありません」(原文ママ)と投稿、「反論」している。
自力入力毎日つかれますは。なを大村知事twitterに、ある団体と一体との書き込みありますが、ボクとその団体とは、関係ありません。知事は不自由展について、名古屋市との協議、実行委員会、何度頼んでもやってくれえせん。民主的プロセスあれせんがね。
— 河村 たかし(本人) (@kawamura758) 2019年10月10日