神戸市須磨区の市立東須磨小学校で、教員4人が、同僚の男性教員に対して、日常的に暴言をあびせるなど、悪質ないじめ行為をおこなっていた問題をめぐり、被害を受けた男性教員の代理人は10月11日、強要や暴行、器物損壊にあたる可能性があるとして警察に被害届を提出した。
NHKなどによると、この教員たちは、同僚の男性教員に対して、日常的に暴言を浴びせるだけでなく、羽交い締めにして激辛カレーを食べさせたり、ドレッシングやキムチ鍋のもとを飲ませたりもしていたという。
さらに、平手打ちをする、蹴る、首を締める、関節技をかける、熱湯の入ったやかんを押し付ける、コピー用紙の芯で尻をたたくなど、およそ50ものいじめ行為があったという。
今後、警察が捜査に乗り出すことも想定されるが、こうした行為が犯罪にあたる可能性はあるのだろうか。また、いじめ被害を受けた男性教員は、加害側に対して損害賠償をもとめることはできるのだろうか。田沢剛弁護士に聞いた。
●暴行罪などの可能性
報じられている4人のいじめ行為は罪に問われないのか。
「考えられる罪名としては、暴行罪(刑法208条)、強要罪(刑法223条1項)などがあります。激辛カレーを無理やり食べさせたり、目や口に塗ったりすれば、それ自体が暴行ですから、その結果、身体の生理的機能に障害が生じたということであれば、傷害罪(刑法204条)も成立するでしょう。もちろん、被害教員が被害届を提出するなどして、捜査当局が動かなければ、罪に問われることはありません」
被害を受けた男性教員は損害賠償をもとめることはできるのか。
「国家賠償法1条1項は、『国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる』と規定しています。
被害教員に対する加害行為が公務や公務関連行為に該当しなければ、私的行為ということになりますから、国家賠償法の問題ではなく、民法によって損害賠償を求めることができますが、公務や公務関連行為である場合には、公務員は個人的な賠償責任を負わないでしょう」
今回の場合はどうなのか。
「個々の加害行為のすべてが明らかにされているわけではありませんが、少なくとも激辛カレーを無理やり食べさせたり目や口に塗ったりする行為は、公務や公務関連行為とはいえないでしょうから、被害教員は加害教員に対し直接に損害賠償を求めることが可能と考えられます」