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2018年07月04日 09時57分

交通事故、とっさに「大丈夫」と言ったら加害者は走り去った…治療費は請求できる?

交通事故、とっさに「大丈夫」と言ったら加害者は走り去った…治療費は請求できる?
画像はイメージです(lOvE / PIXTA)

「初めての事故で、こっちもテンパっちゃって。つい言っちゃったんですよね。『大丈夫』って」。東京都の会社員・二宮浩二さん(仮名・30)は数年前、交通事故にあった。自転車で三叉路を走っていたところ、斜め後方から車にぶつかられてしまったのだ。

運転手は車を停めて声はかけてきたものの、二宮さんが反射的に「大丈夫です」と答えたところ、さっさと走り去ってしまったという。

「立ち上がって、自転車を動かそうとしたんですけど、全然進まないんですよ。良く見たら、車輪が歪んでいました。足もだんだん痛くなってきて…」

二宮さんはそこで初めて警察を呼んだが、「『大丈夫』と言ってしまったのなら難しいですね」と突き放されてしまったのだとか。幸い打撲程度で済んだものの、タクシーで病院に行き、壊れた自転車も自費で処分するハメになったそうだ。

交通事故の被害者が「大丈夫」と言ってしまうと、治療費などはもらえなくなってしまうのだろうか。西村裕一弁護士に聞いた。

●「大丈夫」で直ちに法的効果が発生するわけではない

ーー被害者は「大丈夫」と言ってはいけないのでしょうか?

「交通事故にあって、とっさに『大丈夫』と言ってしまっても、直ちに何らかの法的効果が発生するわけではありません。たとえば、示談が成立した、ということは言えないでしょう。

しかしながら、今回のケースのように『大丈夫』と答えたことで、加害者を現場から帰してしまうと治療費などを請求するのが非常に難しくなります。

加害者の連絡先などの情報が一切得られないため、目撃者などがいない限り、加害者の特定がそもそも困難です。警察も目撃者を得るために事故現場に看板などを出しますが、必ずしも見つかる可能性は高くありません。

ちなみに、今回のケースであれば、けがの治療費はもちろん、病院までの交通費、会社を休んだ場合の休業損害や慰謝料といったけがの損害(人身損害)に加え、壊れた自転車や転んだ際に破れた服、画面割れしたスマホの修理代などの物的な損害を請求することができます」

ーー被害者が「大丈夫」と言っていても、立ち去ったらひき逃げにならない?

「その可能性は十分にあります。今回のケースでも二宮さんが診断書を警察に提出した場合、加害者は後日ひき逃げとして、免許の取消しなどの重大な処分を受けるリスクがあります。

加害者としても、安易に被害者がその場で発した『大丈夫』という言葉を信じて、現場を離れるのは危険です」

なお、ひき逃げの検挙率には統計がある。平成29年警察白書によると、死亡事故の場合はほぼ検挙されているが、軽傷も含めた「ひき逃げ」全体の検挙率は56.8%だった(2017年)。

●事故にあったら警察へ連絡 「警察には言わないで」を認めたらダメ

ーーでは、事故にあったとき、被害者が気をつけるべき点はなんでしょう?

「まずは必ず警察に連絡して事故処理に来てもらうことです。その上で、相手方の氏名、連絡先や加入している保険会社の会社名を聞きます。このとき、可能であれば免許証を見せてもらってメモを取るか、名刺をもらうとよいでしょう。

事故直後は突然の出来事で、精神的にも落ち着いていない状態です。『大丈夫そう』と思っても、二宮さんのようにホッと一息ついた後から症状を感じるということもあります。念のため、事故からできるだけ早く整形外科での受診をすることがとても重要です。

一方、被害者の方が特に警戒すべきは、加害者から『警察には連絡しないで、今ここで示談してほしい』と言われた場合です。

警察へ事故連絡もせず、少しばかりのお金を受け取って、加害者をその場から帰してしまうと、それこそ示談が成立したと評価されかねません。

同じく『病院代は払うから警察には連絡しないでほしい』も、後で加害者と音信不通になって、泣き寝入りということになるリスクがあります」

交通事故には一生縁がない人もいるだろうが、「事故にあったら警察に連絡する」ことはぜひ覚えていてほしい。

(弁護士ドットコムニュース)

西村 裕一弁護士
福岡県内2か所(博多、小倉)にオフィスをもつ弁護士法人デイライト法律事務所の小倉オフィス所長弁護士。自転車事故も含め、年間100件以上の交通事故に関する依頼を受けており、交通事故問題を専門的に取り扱っている。
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